2020.07.03 08:00

【ふるさと納税】制度のいびつさ改善を

 国と地方が対等・協力関係にある中、意に沿わない自治体を強権的に排除した国への重い警告といえる。
 ふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外した総務省の決定を巡る訴訟の上告審判決で、最高裁は除外決定を違法として取り消した。国勝訴とした大阪高裁判決を破棄し、市の逆転勝訴が確定した。
 ふるさと納税は豪華な返礼品で寄付を集める自治体間の競争が過熱。総務省は2019年6月、返礼品を「寄付額の30%以下の地場産品」とする新制度をスタートさせた。
 争いになったのは、新制度除外の判断材料だ。国が「過去に行き過ぎた寄付を集めた自治体は除外する」というルールを示したのは、新制度が始まる直前だった。
 泉佐野市は地場産品ではない返礼品やインターネット通販のギフト券を贈るなどの手法で2018年度に全国トップの500億円近くを集めた。
 国の自粛要請にも従わず、新制度の直前まで続けたため除外された。国が意に沿わない泉佐野市などを狙い撃ちしたのは明らかだった。
 判決は、新制度の内容を定めた改正地方税法には、過去の寄付の集め方を参加可否の判断材料にする趣旨はないと指摘。総務省のルールは法の趣旨を逸脱し、無効とした。
 総務省のやり方が認められれば、国の裁量権を広く認め、一方的に自治体を規制する余地が広がりかねなかった。判決は法定主義にのっとった妥当な判断といえる。
 地方自治に関わる総務省は、地方分権改革で国と地方が対等な協力関係になったことを肝に銘じ、猛省しなければなるまい。
 とはいえ、判決は泉佐野市の寄付の集め方も「社会通念上、節度を欠いていた」と指摘している。
 制度の隙を突いて2018年度寄付総額の1割近くを荒稼ぎした手法は、まじめに国の要請に従った自治体から「不公平だ」と厳しく見られていることを自覚すべきだろう。
 ただ、少ない税収に苦しむ地方間の競争を過熱させ、格差とあつれきを生んだ責任はそもそも国にある。都市と地方の財政格差を是正するのならば、国が地方交付税の充実などで調整に努めるのが本筋である。
 自治体同士で財源を奪い合うという仕組みは、さまざまなゆがみを生んでいる。
 住んでいる自治体に税を納め、行政サービスを受ける「受益者負担」の原則や、「官製通販」と化して都会在住者から古里への恩返し、関心ある自治体の活性化を応援するといった当初の理念が見えづらくなっている。
 高知県では奈半利町で汚職事件が起きた。税や公務の透明性や公平性がゆがんだ底流にも、行き過ぎた競争の末に生じた自治体の倫理観の欠如がありはしないか。
 最高裁判決と制度のいびつさの解消は分けて考える必要がある。地方を支援し、格差を是正する制度とはどうあるべきか。国と地方が対等に協力して議論してもらいたい。

カテゴリー: 社説

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