2020.07.02 08:00

【森友「違法」判決】国の悪質さ より鮮明に

 学校法人「森友学園」の小学校建設用地として国有地が売却された問題を巡って、国の隠蔽(いんぺい)体質が再び厳しく指弾された。
 財務省近畿財務局が当初、学園側との交渉記録を開示しなかったのは違法との判決を大阪地裁が下した。
 国有地はなぜ8億円余りも値引きされたのか。いまだに解明されない疑惑の根深さが、違法判決により改めて浮き彫りとなった。
 近畿財務局は2017年3月、交渉の関連文書を原告の大学教授に情報公開請求されたが、一部を除き存在しないとして不開示とした。財務省の佐川宣寿理財局長=当時=は「適正に廃棄した」としていたが、職員が「手控え」として保管していたものなどが残っており、2018年5月に一転して公表した。
 判決は近畿財務局が文書の一部を保有していたのは明らかで、意図的に不開示としたのは「相当に悪質だ」と指摘。さらに国側が原告の訴えは不適法で却下されるべきだと繰り返した姿勢についても、「はなはだ不誠実」と批判した。
 情報公開法は、国の活動を国民に説明する責務を果たすよう求めている。それをないがしろにする一連の対応に、憤りを禁じ得ない。
 森友問題に関する情報開示訴訟は他にもある。国有地売却額や小学校の設置趣意書の不開示処分についても、国の違法性を認め賠償を命じる判決が確定している。
 このうち売却額を巡る判決では、「近畿財務局は職務上の注意義務を尽くさず、漫然と非開示の判断をした」となっている。不注意や怠慢が非開示の要因であると指摘されたわけだ。
 ところが、今回の交渉記録を巡る判決は、故意に文書を隠したと明確に言及している。行政の悪質性が、より厳しく指摘されたと言える。国は判決の重大性を真摯(しんし)に受け止めるべきである。
 この問題では、国有地売却についての財務省の決裁文書も改ざんされている。同省の内部調査は、国会審議の紛糾を懸念し、質問を少なくする目的で佐川氏が主導したと結論付けている。
 近畿財務局内には改ざんの指示に強い反発があり、男性職員が「書き換えさせられた」との内容の手記を残し自殺している。何が職員を追い詰めたのか。安倍政権中枢の官僚や財務省幹部の忖度(そんたく)や保身が、職員の良心を押しつぶしたのではないか。
 職員の妻は第三者委員会による調査を求めて、35万筆を超える電子署名を安倍晋三首相らに提出している。8億円値引きし、交渉記録を隠蔽し、決裁文書の改ざんにまで至った動機は何だったのか。
 安倍政権は再調査を拒み続けている。しかし、今も多くの国民の胸に残る疑惑を晴らすためには、再調査は避けられない。実施に踏み切るべきである。
 森友問題の幕は下りていない。国会も佐川氏の証人喚問をやり直し、真相解明を続ける必要がある。

カテゴリー: 社説

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