2020.06.28 08:00

【専門家会議廃止】科学との連携は大丈夫か

 新型コロナウイルスの感染拡大第2波に向けて、政治と科学の連携は大丈夫なのか。不安を抱かざるを得ない。
 政府が、コロナ対策を積極的に提言してきた専門家会議を廃止すると発表した。法的位置付けを明確にするため、閣僚会議の下に新設する分科会に衣替えするという。
 政府との関係性を明確にする組織改編ならば一概に否定はしない。しかし、唐突な廃止方針表明には与党すら不快感を示している。専門家会議側も寝耳に水だったという。説明不足は明らかだ。
 専門家会議にどんな問題があったのか。政府は検証し、感染症対策に取り組み続ける国民に向けても説明すべきである。
 専門家会議は2月以降、3密(密閉、密集、密接)の回避や、人と人との接触8割減、新しい生活様式などを次々に提言。政府に対し、緊急事態宣言の発令や解除に直結する助言も行ってきた。
 会議は当初、政府の対策本部に助言する役割だった。しかし未曽有の事態を前に、国民にも現況と感染拡大防止に重要なポイントを直接伝える積極方針に転じた。
 医学的見地から状況を分析した提言だからこそ、多くの国民が受け入れ、実行してきたといえる。安倍晋三首相が自賛する「日本モデル」が成果を上げたとすれば、会議が果たした役割こそが大きい。
 一方、会議側はこの4カ月を「あたかも専門家会議が政策を決定しているような印象を与えた」と総括している。専門家が個人の行動や企業活動にまで関与したという批判を踏まえ、国民に直接情報を伝えてきた姿勢を「前のめり」だったとも述べている。
 ただ、「前のめり」にならざるを得なかった原因は政府にもあるのではないか。
 安倍首相は2月に行った全国一斉の休校要請を専門家会議に諮らないまま決め、批判を浴びた。政府はそれ以降、「専門家の見解」を繰り返し、政策決定を事実上丸投げしてきた印象は否めない。
 安倍政権が独断で決めた対策では、一斉休校要請のほかにも巨費を投じたわりに効果が疑問視される「アベノマスク」の配布など、根拠が不透明なものも少なくない。
 根拠を持った対策の選択肢とそれぞれの効果は専門家が示す。選んだ対策の説明と責任は政治が負う。そうした役割分担をいま一度、整理する必要があろう。
 政府は新たな分科会のメンバーに都道府県知事や企業経営者、経済学者や危機管理の有識者らも幅広く交える方針だという。
 社会経済活動との両立に向け、分科会がどういう性格を持つのかも説明不足のために不透明だ。
 感染拡大の第2波に向けては引き続き科学的知見が欠かせない。国民の命を守るため、政府は今後も専門家が躊躇(ちゅうちょ)なく意見を述べることができる環境を整える必要がある。

カテゴリー: 社説

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