2020.06.24 08:00

【安保改定60年】信頼できるパートナーか

 改定日米安全保障条約が1960年の発効から60年を迎えた。
 51年に調印された旧安保条約は、朝鮮戦争を背景に日本に米軍基地の提供を義務付ける一方、米国による日本防衛は明記されていなかった。そこで日本防衛義務を明確にしたのが60年の安保改定である。
 専守防衛の日本は「盾」、攻撃力を担う米国は「矛」。そんな役割分担は時間の経過とともに揺らいできた。一貫しているのは自衛隊による米軍支援強化の流れだ。
 冷戦終結後の90年代には、旧ソ連への対抗という目的を再定義。「日本と極東の安全への寄与」から「アジア太平洋地域の平和と安定」に拡大した。21世紀に入ると米の「テロとの戦い」に呼応し、自衛隊がインド洋やイラクに派遣された。
 安倍政権は2015年、集団的自衛権行使を認める安全保障関連法を成立させた。自衛隊による米軍支援が地球規模で可能となるなど、安保体制は完全に変質した。
 「盾」だけではなく「矛」も持とう―。そんな動きも見えてきた。安倍政権は自衛隊が敵基地攻撃能力を保有することの是非の議論を、今夏から始めるという。
 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画停止に伴い、日本の防衛にあく穴を埋める狙いだ。しかし政府は従来、敵基地攻撃能力は持たないことを統一見解としてきた。それと矛盾しよう。
 そもそも日米同盟は、双方の信頼関係が強固であってこそ成り立つものだろう。その絆に疑念を生じさせる「暴露」も出てきた。
 ボルトン前米大統領補佐官が出版した回顧録で、トランプ大統領が在日米軍の駐留経費負担として年間約8500億円を日本側に求めていることを明らかにした。これは現在の4倍以上に上る。
 さらには「全ての米軍を撤収させると脅すことだ。そうすれば非常に強力な交渉上の立場を得られる」「(北朝鮮のミサイル実験により)お金を要求する良いタイミングだ」と話したという。
 事実だとすれば、そこには「アジア太平洋地域の平和と安定」の理念などみじんもない。トランプ氏にとっては日米安保も、巨額の金を引き出す「ディール(取引)」の材料にすぎないのだろう。
 日米両政府は安保改定60年に合わせて、「日米同盟は、いまだかつてないほど強固で幅広く不可欠」との文書を発表。安倍首相も常々、トランプ氏との「蜜月」関係を強調しているが、内実はどうなのか。
 北朝鮮の核開発や中国の軍備増強など不安定要因がある中、日本の安全保障は今後とも日米同盟が基軸となろう。それには互いが信頼に足るパートナーでなければならない。日本は専守防衛を貫き、米国にもその立場を理解させる必要がある。
 「上下・主従」ではなく、「対等・協力」関係の一層の推進へ。安保改定から60年を経て、今ほどそれが求められている時はない。

カテゴリー: 社説

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