2020.06.21 08:00

小社会 コロナ後

 夏目漱石の長編小説「行人」には、登場人物の一人が科学の発展を呪うせりふが出てくる。「人間の不安は科学の発展から来る。進んで止(とど)まる事を知らない科学は、かつて我々に止まる事を許してくれた事がない」。

 この後、徒歩から始まって、人力車→馬車→汽車→自動車→飛行機などと、乗り物の発展を列挙。「どこまで行っても休ませてくれない。どこまでつれて行かれるか分からない」と、近代知識人の不安と苦悩が語られる。

 確かに科学の発展は人間に豊かさと便利さをもたらした。だが一方で、現代の変化のスピードはあまりに速い。「行人」の人物が抱いた不安に、心のどこかで共感する人も大勢いよう。

 苦い経験がある。9年前の東日本大震災と原発事故で、発展したはずの科学も大打撃を受けた。その教訓から大震災後の時代は、国のかたちや社会の在り方が大きく変わるのではという期待もあった。だが望みは失速しつつある。

 そこをコロナ禍は襲った。車は自動運転になり、仕事はテレワーク…。とかく政治はバラ色の世界を描きやすい。しかし私たちをつれていく先がどこなのかは分からない。

 安倍首相が、コロナ後を見据えた国家像や社会像を議論する会議を設けるという。例えば過剰なモノより人間を重視し、尊重する世界。それ一つでも軽く見ては、いずれ大きな厄災のしっぺ返しを食らうだろう。よほど大胆な価値観の転換が必要だ。


6月21日のこよみ。
旧暦の5月1日に当たります。きのと ひつじ 二黒 大安。
日の出は4時56分、日の入りは19時19分。
月の出は4時41分、月の入りは19時22分、月齢は29.4です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時16分、潮位179センチと、18時50分、潮位180センチです。
干潮は12時04分、潮位11センチです。

6月22日のこよみ。
旧暦の5月2日に当たります。ひのえ さる 一白 赤口。
日の出は4時56分、日の入りは19時19分。
月の出は5時32分、月の入りは20時18分、月齢は0.8です。
潮は大潮で、干潮は高知港標準で0時19分、潮位94センチと、12時42分、潮位7センチです。
満潮は5時52分、潮位182センチと、19時29分、潮位181センチです。


カテゴリー: 小社会コラム

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