2020.06.20 08:00

【県境移動解除】コロナと共生する自覚を

 新型コロナウイルス対策で政府が求めていた、都道府県境をまたぐ移動の自粛要請が全面解除された。緊急事態宣言の解除が遅れた首都圏4都県や北海道との間を含め、往来が全て自由となった。
 社会経済活動のレベルを徐々に引き上げていくためにも、往来の自由を取り戻すことは欠かせない。とはいえ、感染再拡大の恐れは依然つきまとう。
 「3密」(密閉・密集・密接)を避けるなど「新しい生活様式」を意識しながら、経済の回復と感染防止の両立に努めたい。
 コンサートなどイベントの人数上限は千人にまで緩和する。プロスポーツは無観客で実施し、接待を伴う飲食業やライブハウスに対する休業要請も解除した。
 移動の自粛で観光、宿泊業界などは大打撃を受けてきただけに解除は確かな前進となろう。半面、東京や北海道など一部自治体にとどまってはいるものの、新規感染者も出続けている。すぐに「コロナ以前」の状態に戻すわけにはいかない。
 宿泊施設や公共交通機関では施設や乗り物内の除菌や換気、スタッフの検温などに取り組むケースが増えている。おもてなしに占める「安心・安全」のウエートを大きくしなければ、客に選んでもらえない。そんな危機感の表れである。
 各種施設などで3密を生じさせないために受け入れ人数を減らせば、営業しても赤字となる場合が出てこよう。倒産や廃業につながらないよう、行政などの支援の目配りは引き続き必要だ。
 国土交通省は旅行の際に注意すべき感染防止事項を公表している。
 旅行する地域の感染状況をチェックし、旅先でも手洗いやうがい、マスクの着用を欠かさない。電車やバスの車内での会話を控え、駅やバス停で並ぶ際は人同士の距離を確保する。土産物店では商品になるべく触らない…。
 細かな対策には窮屈さも感じる。それでもワクチンや特効薬がない以上、無理のない範囲で取り組むよう心掛けたい。
 コロナ対策で日本は諸外国のような強制力のある外出規制ではなく、罰則を伴わない外出自粛や休業を行政が要請する手法を取った。それでも一定の効果を上げることができた要因の一つには、国民が要請に応じて取り組んだ行動変容がある。
 県境移動の制限が全面解除された今、一人一人の自覚ある行動がさらに求められよう。それを積み重ねていくことでしか、感染防止と経済回復の両立は成し得ない。
 「コロナとの共生」が強いられる時代。感染第1波では、欧州からの入国制限の遅れが感染拡大につながった可能性が指摘されている。感情的でいいかげんな情報が瞬時に伝わり、感染者らの人権を脅かすことも学んだ。
 同じ過ちを繰り返さないよう、こうした教訓を忘れずに「次」に生かすことが大切だ。

カテゴリー: 社説

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