2020.06.19 08:00

【河井夫妻逮捕】首相と党の責任問われる

 選挙の車上運動員への違法報酬問題が端緒となった事件は、法相経験者とその妻の国会議員2人による巨額買収事件へと発展した。
 昨年7月の参院選広島選挙区を巡り、地元県議らに票の取りまとめなどを依頼して現金を配ったとして、前法相の衆院議員、河井克行容疑者=広島3区=と妻の参院議員、案里容疑者を検察当局は逮捕した。逮捕容疑は公選法違反で買収の総額は2500万円を超す。
 夫妻は逮捕前の捜査当局の任意聴取に買収行為を否定したという。買収相手には地方議会の議員らが含まれる。広島地検のほか、東京地検特捜部も捜査に加わっている。全容をしっかり解明してほしい。
 事件の発覚以来約8カ月。さまざまな疑惑が持ち上がる中、説明責任を夫妻は結局果たさなかった。
 安倍晋三首相は夫妻について問われると「国会議員は掛けられた疑惑について、しっかり説明する責任を負っている」などと話した。それならば、説明するよう強く促しただろうか。
 結果的に国民の政治不信をどれほど増幅させたことか。会見などにほとんど応じなかった夫妻の姿勢を見ても自覚していなかったのだろう。その時点で国会にいる資格はないのではないか。
 安倍首相や自民党の責任も問われている。
 逮捕される前日に夫妻は自民党を離党した。しかし、克行容疑者は昨年9月に法相に就任し、わずか2カ月足らずで辞任した。それ以前にも首相補佐官を務めるなど安倍首相に近いとされている。
 「政治とカネ」の問題で法相経験者が逮捕されるのは初めてとみられている。その法務行政のトップに克行容疑者を充てた安倍首相に任命責任があるのは当然だ。
 また、案里容疑者の擁立は首相官邸や自民党本部が主導したとされる。安倍首相は選挙の応援にも駆け付けた。陣営には通常より相当多額の1億5千万円を投入して選挙運動を支援している。
 その資金が買収に充てられたかどうかは不明だ。捜査当局による使途の解明が待たれるが、党本部も資金投入の経緯について国民に分かりやすく説明する必要があるだろう。
 案里容疑者の公設秘書は車上運動員に法定上限を超える違法な報酬を支払ったとして広島地裁で執行猶予付きの有罪判決を受けた。連座制の適用対象で、案里容疑者が失職する可能性も出ている。
 この裁判で弁護側は連座制が適用されない罰金刑を求めていた。しかし、裁判長は「罰金刑相当の軽い事案とはいえない」と一蹴した。この言葉の重みを案里容疑者らは考えるべきだ。
 両容疑者の逮捕を受けて野党は予算委員会の集中審議を要求している。国会閉会の際、安倍首相は「求められれば説明責任を果たす」と述べた。その責任を今度こそきっちり果たすべきた。

カテゴリー: 社説

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