2020.06.16 08:38

虚ろな税 奈半利事件の実相(8)呼び水 身の丈伸ばそうと

 「ふるさと納税」で全国有数の寄付金を得ていた高知県奈半利(なはり)町の職員と親族、返礼品業者が贈収賄容疑で次々と逮捕された。海辺の町でいったい何が起きていたのか。この制度はなぜ生まれ、できた制度は何を生んでいるのか。高知新聞の報道部と地元支局が事件の実相を追う連載「虚(うつ)ろな税(ちから)」は、高知新聞Plusで全文読むことができます。

柏木雄太と松村通成が返礼品の仕入れルートを広げた東京・築地市場(2017年8月)
柏木雄太と松村通成が返礼品の仕入れルートを広げた東京・築地市場(2017年8月)

 「商品が来ないけど?」
 「まだ?」

 2015年以降、ふるさと納税の仲介サイトと次々に契約した奈半利町には、寄付とともに苦情が殺到するようになった。

 返礼品に「お楽しみコース」を導入した奈半利町職員、柏木雄太は対応に追われていた。一方、コースに組み込んだ町内業者から「来月は無理」「数をようそろえん」といった声も届いていた。

 町役場では10人ほどの臨時職員が電話に応対し、「コールセンターのようだった」(町職員)。

 苦情は楽天などの仲介サイトにも届いた。トラストバンク創業者の須永珠代(46)は「奈半利町は大丈夫?となり、スタッフを町に派遣して業務指導した」という。

 県東部で「コース」を導入した自治体職員も「注文30件でも大変やった。柏木さんは1人で1万5千件。『どう管理したら…』って困っちょった」。

 「品が足りん」が口癖になった柏木は、やがて町の1人の若者に目を付ける。老舗の海産物業者の息子で、柏木らへの贈賄容疑で逮捕された松村通成(みちなり)(30)だった。...

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