2020.05.08 14:37

よさこい中止を乗り越えて 衣装業者がマスクに活路

がんと闘いながらマスクを縫う内職の女性(高知市内)
がんと闘いながらマスクを縫う内職の女性(高知市内)
内職従事者の貴重な収入源
 よさこい祭りの衣装や鳴子を手掛ける事業者が、祭りの中止に伴い、布マスク製作に力を入れている。衣装用の生地や、培ってきた縫製の腕を生かすことができるのがマスク。縫製作業は、内職でしか働けない人の貴重な収入源にもなっており、減った仕事を少しでもカバーしたい考えだ。
 
 高知市の縫製業「表現(ひょうげ)や」は例年、内職従事者約20人の手を借りて県内外50チーム以上の衣装の縫製を担当する。コロナの影響で受注が激減した3月からは、マスク製造にシフトした。
 
 請け負う人の約半分がシングルマザーで、残り半分も、介護や病気など働きにくい事情を持つ人が大半。「衣装縫製の内職は普通の仕事が難しい人の受け皿になっている。たちまち生活に困る彼女たちの収入を止めるわけにはいかなかった」と、代表の松井一恵さん(48)が話す。
 
 販路の当てはなかったが、試しに縫ったマスクを知人や近所の人に配るうち、「職場でまとめて50枚ほしい」などの注文が舞い込みだした。既に数千枚を受注した。
 
 内職の従事者からは安堵(あんど)の声が上がる。高校3年の長男を女手一つで育てる会社員(49)は「給料だけでは生活がぎりぎりだけど、息子を県外の大学に行かせてあげたい。どんどん縫って稼ぎます」。乳がん治療中の50代女性は「感染したら命取りなので、外に出なくてもできる仕事はありがたい。手を動かしていると気も晴れる」と話す。
 
 とはいえ、マスク需要はいずれ減るとみられ、例年通りの収入にも届かないのが実情。松井さんは「こんな時だからこそできる何かがあるはず。ニーズを見つけて仕事をつくっていきたい」と意欲を見せる。
 
衣装用生地で作った色とりどりのマスク(高知市札場のドリーム・カンパニー)
衣装用生地で作った色とりどりのマスク(高知市札場のドリーム・カンパニー)
 高知市札場の衣装店「ドリーム・カンパニー」も、鳴子製作の「こだかさ障害者支援センター」(高知市越前町2丁目)と協力してマスクを製作する。ドリーム社が作ったマスクを、「こだかさ」など県内3カ所の障害者施設がゴムひもを通して包装している。
 
 ドリーム社の伊与田修社長(68)が3月中旬、取引があるチームに面白がってもらおうと衣装の生地でマスクを試作したところ、「ぜひ売ってほしい」と要望が出た。約60チーム分を手掛けていた衣装の受注が激減していたこともあり、同じく鳴子の受注減で困っていた「こだかさ障害者支援センター」に一緒にやろうと持ちかけたという。
 
 素材は高品質なポリエステルちりめん。衣装用にも使う生地のため速乾性があり、洗っても縮みにくい。朱色や紫色の花柄、市松模様など、見た目も祭りの雰囲気を重視した。
 
 「こだかさ障害者支援センター」の友村正子木工部長(59)は「利用者さんの工賃に充てられるのでありがたい」。伊与田社長は「同業者はどこも相当厳しい。なんとか生き残ってよさこい文化を残したい」と話す。
 
 ドリーム社のマスクは「鳴子工房こだかさ」のWebサイトで購入でき、3枚組みで税込み3500円。「表現や」への問い合わせはファクス(088・847・5357)へ。(竹内悠理菜)

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