2020.05.06 08:28

休業解除に歓迎と疑問 高知県民「経済動く」「感染拡大が不安」

人通りのまばらな高知市の中心商店街周辺と、あちこちの飲食店に張られた休業の張り紙。休業要請などが解除された7日以降、客足はどこまで戻るか(コラージュ=岡崎紗和作成)
人通りのまばらな高知市の中心商店街周辺と、あちこちの飲食店に張られた休業の張り紙。休業要請などが解除された7日以降、客足はどこまで戻るか(コラージュ=岡崎紗和作成)
 高知県内の新型コロナウイルス感染の沈静化を受けて、浜田省司知事が5日に打ち出した休業・時短営業要請の解除方針。経営再開を喜ぶ飲食店や県民から歓迎の声が聞かれる一方、全国の緊急事態宣言が続く中での緩和に「また感染が広がるのでは?」と不安視する人も少なくない。休業要請を解きながら客に出入り自粛を求める手法には「新たな補償もなく、中途半端なやり方」と疑問の声も。県の判断は県経済が息を吹き返すきっかけになるのか、それとも…。 

出入り自粛「中途半端」
 感染防止と経済の維持をてんびんにかけるような判断に、高知市の街行く人々の賛否も分かれた。高知市の主婦(38)は「今年はよさこい祭りも中止で(街の)元気がなくなる一方やき、少しでも経済が動いた方がいい」と理解を示した。

 一方、高知市の男性会社員(48)は「解除が早すぎる。みんな飲みに行って、感染者が一気に増えるろう。知事はもう少し我慢するように県民にお願いすべきだった」。

 青果店に勤める女性(43)は「解除するなら、ウイルス検査を徹底して感染してない人だけを出歩けるようにしてほしい」。スーパーで食料品を買い込んでいた高知市の30代女性は「油断した時が危ない。外食はまだまだ様子を見ないと…。しばらくは家にこもります」と話した。

 休業で苦境にあえいできた飲食店からは「解除はありがたい。昼の営業も考えるなど柔軟に対応したい」(高知市内の居酒屋経営者)と喜ぶ声もあるが、思いは複雑なようだ。

 県は「店側」への休業・時短営業要請を解除する一方、「客側」に「夜間の繁華街の接待を伴う飲食店」やカラオケボックス、ライブハウスへの出入りを自粛するよう求めた。対象事業者に追加の協力金は出さない。

 これに対し、「『県からは営業自粛を求めないので、今後は補償する必要もない』という意味だと思う」と指摘するスナック経営の50代女性は、「行く、行かないの判断を県民に丸投げしている」と憤慨。休業を知らせる店頭の張り紙の「6日まで」に斜線を入れ、「31日まで」と書き直した。

 別のスナック経営の男性(54)は「出入り自粛では客足が戻らない。休業中でも家賃やカラオケ機器のリース代などで固定費は月20万円近くかかるので…。7日以降は週末だけ店を開けて様子を見ます」。

 解除を手放しで喜べないのは、高知市でカラオケ店を営む男性(44)も同じ。「これまで我慢していた人が外へ出る。それで感染者が増えて、休業要請が繰り返されれば、経営的に立ち直れない」と懸念する。

 今後の営業再開が注目される「ひろめ市場」(高知市帯屋町2丁目)。運営会社の大西直人社長は「全国の緊急事態宣言が続く31日まで休館する方針に変わりはないが、(感染状況などを踏まえて)テナント会と協議して再開時期を検討していく」とした。

 県は観光などによる県外からの来高自粛も求めるが、高知市で旅館を経営する60代男性は「もはや県の要請うんぬんを超えた次元。ウイルスの影響で民間は所得が減って旅行どころじゃない。よさこい祭りもない中で(各旅館やホテルが)いつまでもつのか…」。

 県の休業要請や解除の“外”でも不安は膨らむ。同市でタクシー会社を経営する50代男性は「(要請延長という)最悪の事態にならずに良かった。ただ、今後も自粛ムードは続くだろうし、これまでの損失を取り返す見込みもない」と険しい表情で話した。

 感染が相次いだ宿毛市では、7日以降も宿毛市独自の休業・時間短縮の要請期間(20日まで)が続く。居酒屋を営む男性(33)は「早く店を開けたい人もおるろうけど、完全に終息するまでは自粛せざるを得ない。今は(テイクアウトなど)できることをするしかない」と前を向いた。(高知新聞取材班)

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