2020.05.06 08:00

【コロナと介護】何としても崩壊防がねば

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、病院などで対応できる以上に患者が増えて必要な治療ができなくなる医療崩壊が懸念されている。
 そうした医療機関の状況に加え、お年寄りらが利用している介護施設の「崩壊」にも国や自治体は十分目を光らせる必要がある。
 全都道府県に緊急事態宣言が拡大された先月中旬、厚生労働省は高齢者らが自宅から施設に行く通所介護(デイサービス)や短期宿泊(ショートステイ)施設の状況を調べた。
 それによると全国で858事業所、高知県でも通所介護の6事業所が休業していた。介護福祉士やヘルパーが利用者宅に行く訪問介護の事業所も全国で51カ所が休業していた。
 通所介護や短期宿泊の全事業所に占める休業の割合は決して高くないものの、直前の調査より多くなっている。感染者が全国で増え続け、終息が見通せない中、休業施設はさらに増加する恐れがある。
 都市部の介護施設では利用者らの集団感染が起きており、休業した事業所のほとんどは感染防止のための自主的判断だった。
 高齢者は重症化や死亡リスクが高い「感染弱者」とされる。万が一の場合を考えた休業の判断は間違っているとはいえない。
 ただ、食事や入浴、体操といった心身の機能維持に必要なサービスを通所介護などで受けていた高齢者が閉じこもりがちになると、どうなるだろう。生活バランスが崩れ、健康悪化を警告する専門家がいる。
 通所介護や訪問介護が減ると、家族介護の時間が必然的に増える。しかし、家族が遠方に住んでいるケースがある。仕事を持っていると介護が十分行えないかもしれない。
 家族介護は、高齢の配偶者による老老介護が以前から問題になっている。配偶者の負担が増えて共倒れになっては元も子もない。
 厚労省の調査では、事業所を休業した理由に「学校などの休業に伴う人手不足」を挙げた施設があった。
 通常時でも訪問介護のヘルパーやデイサービスの介護スタッフらの不足は深刻だ。
 資格を持ちながら、さまざまな事情で現在働いていない介護福祉士らもいるはずだ。そうした人が仕事がしやすいような待遇や給与アップなどを国は考えるべきではないか。
 医療崩壊が懸念される理由の一つに防護服やマスクなどの慢性的な不足がある。院内感染が起きた施設では、お年寄りが亡くなるケースが少なくない。介護現場でも防護服などが不足する状況は同じで、医療現場より深刻だとの指摘がある。
 より介護を必要とする高齢者の生活の場である特別養護老人ホームで感染が増えれば、お年寄りは命の危険にさらされるだけではない。必要とするサービスが全く受けられない多数の「介護難民」を生む可能性もある。
 国は緊急事態宣言を延長した。医療、介護現場で最悪の事態を招かない万全の対策を求めたい。 

カテゴリー: 社説

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