2020.05.05 08:44

小6で防災士に合格 高知市の田渕さん・山本さん

非常用の持ち出し袋を手に笑顔の田渕凛海さん=左=と山本明日奏さん(高知市竹島町=森本敦士撮影)
非常用の持ち出し袋を手に笑顔の田渕凛海さん=左=と山本明日奏さん(高知市竹島町=森本敦士撮影)
 地域の命、私たちの手で守りたい―。この3月まで高知市の潮江南小学校の6年生だった女子生徒2人が、在学中に受けた防災士の認定試験に見事合格した。全国に防災士は19万5千人いるが、12歳での資格取得はこれまでわずか28人。若き防災リーダーの誕生が、地域の未来を明るく照らしている。
 
 今春から高知南中学校に進んだ田渕凛海(りんか)さん(12)と潮江中の山本明日奏(あすか)さん(12)。2人は潮江南小の同級生で、同小が4年時から行う防災学習に励んできた。
 
 6年生になった昨春、2人の熱心な姿を見ていた潮江南防災連合会の事務局長、川上政寿さん(53)から「防災士になってみん?」と誘われた。凛海さんは「学校で学んだ防災をもっと考えたい」、明日奏さんも「潮江地区に来ると言われる津波から身を守りたい」と挑戦することに。
 
 2人はまず受験資格を得ようと昨年6~8月、日本防災士機構が防災士養成の研修機関として認証する「高知市防災人づくり塾」を受講。県内外の専門家が行う全8回の講座を学んだ。
 
 「耐震基準」「地震保険」「ヘクトパスカル」―。試験は地震に加え、風水害や火山、防災活動など幅広い範囲から出題される。初めて耳にする用語が飛び交う講座。習っていない漢字も出てくる。
 
 2人は、学校の教科書の2倍以上ある教本と格闘し、防災知識を少しずつ習得。勉強を続けるうちに、自らの周囲の備えにも目が向くようになったという。
 
 凛海さんは、受講前は潮江南小を避難場所にしていた。家族であらためて話し合い、自宅からより内陸寄りの市営住宅に逃げた方が安全と考え、避難先を変更した。明日奏さんも自宅の玄関の靴箱やたんすなどを固定し、速やかな避難への備えを進めたという。
 
 そうやって勉強と実践をこつこつ重ね、2人とも2020年度の防災士試験に合格。さらに一緒に勉強した凛海さんの母、理絵さん(45)と、明日奏さんの母の有紀さん(48)も受かり、潮江地区に親子4人の防災士が誕生した。
 
 市内約280人の防災士が登録する市防災士連絡協議会は「会員で小学生が合格した例は初めて。活動の刺激になり、防災で子どもの活躍の場が広がるきっかけにもなる」と期待を寄せる。
 
 凛海さんは「地域や学校で防災リーダーとして率先して訓練に取り組む」。明日奏さんは潮江中の生徒有志による「防災プロジェクトチーム」に参加したいとし、「友だちと一緒に勉強を続け、家族や大切な人の命を守りたい」と話す。
 
 今春から別々の中学校に通う2人。防災士として地域を守る思いを新たにしている。(海路佳孝)
 
《ズーム》防災士
 NPO法人日本防災士機構が認証する民間資格。取得には、機構の認証を受けた研修機関での受講などが必要。受講後に筆記試験(3択30問)を受け、正答率80%以上で合格。今年4月末時点の資格取得者は全国19万5913人、高知県民は4465人。

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