2020.04.30 08:00

【「コロナうつ」】相談窓口の設置を早急に

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、憂鬱(ゆううつ)な気分が続いたり、不安、焦りといったうつ病の症状を訴えたりする人が増えている。いわゆる「コロナうつ」である。
 これまで普通の生活を営んできた市民から、「外に出るのが怖い」「息苦しい」「眠れない」などの症状の訴えが、東京や大阪など都市部で急増している。高知県など地方も例外ではない。
 このような症例は、阪神大震災、東日本大震災などでも起きた。仮設住宅で引きこもりになったり、仕事を失ったりした結果、憂鬱が高じてうつ病と診断され、症状が悪化した人も少なくない。
 新型コロナウイルスの感染拡大で、この大型連休は全都道府県に緊急事態宣言が発令中だ。自治体による外出自粛や休業の要請で、国民の大半が身動きできない状態は、うつ病の入り口になりやすい。
 感染者の拡大を封じ込めると同時に、いま大切なことは、うつ病のリスクが小さいうちに、相談体制を万全にし、支援の仕組みを充実させることだろう。
 普段、健康に過ごしている人でも、家に長時間、閉じこもっていればストレスがたまるはずだ。さらに失業や収入減で生活不安が高まれば、心はむしばまれてゆく。
 アルコールなどの依存症になる人も増える。心の病は家族の絆にもひびを入れ、イライラが爆発し、ドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待も引き起こしかねない。
 そうなる前の予防措置として、有効なのが相談体制の充実だ。
 「心の相談」を巡っては現在でも各自治体や民間の診療所などが、電話相談も含めて受け付けている。ただDVや虐待など、窓口が分散し、どこに相談したらいいのか分からないという人も多い。
 自分自身でコロナうつを疑っても確信が持てず、相談をためらう人もいよう。早めに、気軽に相談できるよう、自治体に一本化した総合窓口を設けてはどうか。
 その場合、縦割り行政の弊害で相談がたらい回しにならないように注意したい。県内の精神科の医師や心理カウンセラーら専門家のネットワークをつくり、迅速に相談者とつなぐ仕組みも必要だ。
 高知県ではこれまでコロナ禍対応に手いっぱいで、メンタルヘルスの分野は感染者やその家族らが中心だったが、近く県立精神保健福祉センターを中心に、一般への総合窓口を設ける方針という。今後「うつの問題」が県全体で起こり得るという認識からだ。
 うつ病は症状が悪化すると、最悪の場合、自殺に至る病気だ。景気の悪化に比例して働き盛りの自殺が増えることや、長期休暇明けには子どもの自殺が多いことなどが統計上、明らかになっている。
 大型連休後もウイルスとの闘いは長期戦が予想される。県民は家族や知人も含め、誰かに相談することで少しでも心に余裕を持ちたい。

カテゴリー: 社説

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