2020.04.28 08:38

よさこい中止が経済も直撃 「覚悟していたが…」「きつい」

鳴子を製作する事業所。新型コロナウイルスの影響で、今年は注文が止まっているという(2018年、香美市香北町の「やまもも工房」)
鳴子を製作する事業所。新型コロナウイルスの影響で、今年は注文が止まっているという(2018年、香美市香北町の「やまもも工房」)
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中止が取りざたされていた今夏の第67回よさこい祭り(8月9~12日)が27日、正式に見送られることになった。踊り子らが年に1度の晴れ舞台を失う一方で、関連の業務や仕事を担う事業者は収益減を余儀なくされ、よさこいへの依存度が高いほど状況は深刻だ。「覚悟はしていたが…」「きつい」。街のあちこちで落胆が漏れた。

 よさこい祭りは観光・宿泊や飲食、美容、土産物の生産・販売など関わる業種の裾野は広く、衣装や地方車製作の受発注なども通じて地域経済を潤わせてきた。主催の「よさこい祭振興会」の調査によると、経済波及効果は96億2700万円(2017年)。額は回数を重ねるたびに伸びている。

 その中止で、特に影響が大きいのがやはり観光関連だ。新型コロナで既に打撃を受けている中、追い打ちを掛ける形にもなり、「最後の望みの一つがよさこいだった。気持ちが折れるというか…」とは高知県旅館ホテル生活衛生同業組合の藤本正孝理事長(66)。社長を務める城西館では、例年4日で数千万円の売り上げがあったという。「今後は予約客に中止を連絡し、キャンセルするかどうか聞く作業です」と肩を落とす。

 踊り子が利用する美容院、ネイルサロンなども祭りの時期が書き入れ時。高知市などで美容院数店舗を経営する30代男性は「祭りの期間は普段の倍以上の売り上げがある」とし、「今年は婚礼や卒業式も少なく、既にお客さんは9割減。その上、よさこいも…」と悩ましげに話す。

 よさこい関連の受注が収入の柱となっている企業や個人からは「1年分の仕事がなくなった」との悲鳴も上がる。

 衣装を縫製する内職の取りまとめをしている高知市内の40代女性は「(請け負う人には)母子家庭の人もおり、彼女たちの生活に影響が出るのが心配」。チームへの楽曲製作を専業にしている高知市の男性(54)は「今年は(収入)なし。ハローワークと転職サイトに登録しました」と淡々と話す。

 鳴子やフラフを作る業者も直撃しており、「売り上げの98%がよさこい関係だが、1カ月前からぴたっと注文が止まってしまった」と、香美市の「やまもも工房」。高知市の「鳴子工房こだかさ」は「鳴子を年間5万組作って3万5千組売っているが、今年の販売数は8割減」と明かす。

 ただ、中止は3月中旬ごろから取りざたされてきたため、事業者らの多くは「覚悟はしていた」「仕方ない」と冷静な受け止めだ。準備時間があった分、別の仕事を探すなど次善の対応をする事業者もおり、衣装業者はコロナ対策の布マスク、鳴子業者は工作キットなどに業務をシフトさせている。

 地方車の製作など参加チームの総合プロデュース業を手掛ける会社「スマッシュ」(高知市)は、ウェブ会議の実行・支援をするコンサルタント業務を新たに始めた。「うちはひとまず冬眠」と話す宮崎修社長(48)が、努めて前を向いた。

 「平時に戻るまで、みんなで頑張るしかない。次やるときは盛大に!」

高知市長、知事「大変残念」
 よさこい祭りの中止が決まった27日、岡﨑誠也高知市長と浜田省司知事はともに「残念だが、感染防止のためやむを得ない」との受け止めを示した。

 岡﨑市長は取材に対し、「よさこいは市民にとって元気の原点みたいな祭り。親子3代、4代と踊る人もおり、楽しみにしている方も多かったはず」と市民の落胆に思いをはせ、「中止は非常に残念だが、コロナを終息させないと次へ進めない」と述べた。

 浜田知事は「実施の可否を判断するタイムリミット。苦渋の決断だったと思う」とのコメントを発表。取材に対しては「安全に実施できるかを最優先に考えれば、やむを得ない選択」とし、「大変残念だが、今年は辛抱の時。まずはしっかり感染拡大防止をしていく」と語った。(竹内悠理菜、大山泰志)

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