2020.04.28 08:00

【よさこい中止】感染防止へやむを得ない

 高知の夏を象徴し、全国的にもファンが多いよさこい祭りが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために開かれないことになった。
 行政や企業などでつくる主催団体「よさこい祭振興会」(会長=青木章泰・高知商工会議所会頭)は全会一致で初めての中止を決めた。
 1954年に始まり、67回目の今年は8月9~12日に開かれる予定だった。だが、全都道府県に新型コロナの緊急事態宣言が発令され、外出自粛などが求められている。現状では終息時期も見通せない。
 主催団体として、歴史ある祭りを中止するのには葛藤があっただろう。とはいえ、祭りには近年1万8千人ほどの踊り子が県内や全国から参加している。8月の本番前には練習期間があり、会場の設営準備や運営にも多くの人手がいる。
 東京五輪・パラリンピックの延期をはじめ、青森の「ねぶた祭」や徳島の「阿波おどり」など祭りやイベントが中止に追い込まれている。
 中止の決定は、踊り子と観光客らの健康と安全を考えてのことだ。感染拡大を防ぎ、一刻も早い終息へと導くためにも、やむを得ない判断だといえる。
 それにしても、県内外の踊り子やファンにとってはショックは大きいだろう。
 よさこい祭りは戦後の復興と市民の健康などを願い始まった。夏の一時期、大勢の仲間が集まり本番に向けて練習に汗を流す。本番では踊り子の間近で見物客も声援を送る。高知の夏とは切っても切り離せない。
 よさこい鳴子踊りの曲を使ったり、鳴子を持ったりする以外に大きな制約はなく、チームの個性で衣装や音楽、振り付けのアレンジができる。そうした自由さが受け入れられて国内外に踊りが広がった。
 祭りが全国区になるほど経済波及効果は大きくなり、2017年の同振興会の調べでは96億円を超えている。観光客による交通・宿泊費や飲食・土産物代、さらに踊り子の衣装やメイク、バス代、振り付け指導料…。関係業種の裾野は広い。
 新型コロナの影響で、県内でも飲食業などに休業要請が行われている。苦境に立っている県経済に、祭りの中止が追い打ちをかけることになる。
 国の緊急経済対策にも事業者らへの支援策があるが、県内最大規模の祭りの中止は長期的な視野でのサポートが必要だ。県などは国と連携し、支援策を検討してほしい。
 夏の祭りは中止になったものの、振興会の青木会長は、感染の終息を前提に代替イベントの可能性を検討する考えも示している。
 国内はもとより海外からの踊り子とも交流したり、職場や世代を超えて見物客らが知り合ったりと、祭りの輪はさまざまな広がりがある。中止によって、そうした人のつながりや交流がなくなるのは惜しい。
 代替イベントのほか、ネットでの交流など「ウイルスよっちょれ!」に官民で知恵を絞りたい。

カテゴリー: 社説

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