2020.04.27 08:00

【原油暴落】「コロナ不況」あらわに

 米国で原油先物相場が暴落し、一時マイナス価格に落ち込んだ。
 マイナス価格になると、原油を売る側が手数料を支払った上で買い手に引き取ってもらうことになる。史上初めての異常な事態である。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、世界の経済活動がいかに停滞しているかを示している。
 原油先物相場は将来の原油価格を事前に決める取引で、初のマイナスとなったのは5月渡し分。4月20日に前週末比で55ドル以上安い1バレル=マイナス37・63ドルとなった。千バレル(約16万リットル)の原油を取引すると、買い手は原油に加えて3万7630ドル(約400万円)を受け取れる。
 新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛などで、航空機燃料やガソリンの需要が短期間で急減。原油の在庫が膨らんでいることが原因だ。
 日本は原油の約9割を中東から輸入しているが、中東産原油先物相場も急落。東京商品取引所で18年ぶりの安値をつけた。このため石油輸出国機構(OPEC)と、これに非加盟の産油国は減産を実施する。
 しかし新型コロナの感染終息は見通せず、減産分が需要の急減分を吸収できるとする見方は少ない。今後も供給過剰の懸念はぬぐえないのが実情だ。
 むろん原油安はガソリン価格の低下などで、消費者にとって恩恵がある。レギュラーガソリンの全国平均小売価格は、既に13週連続で値下がりしている。原油安と連動して液化天然ガスの価格も下がっており、こうした傾向が続けば電気やガス料金も下がって、メリットがさらに広がる可能性はあろう。
 一方で大型連休の期間を含めて、車などでの遠出も自粛が求められている。現状ではガソリン安の恩恵は限定的となろう。
 原油安には「副作用」もある。
 米国などで石油や天然ガスの開発を手掛ける商社などは、開発事業の資産価値が目減りする。石油元売り各社も原油在庫の評価損が避けられない。実際、丸紅や出光興産などは、2020年3月期の連結純損益が赤字に陥る見通しだ。
 仮にエネルギー関連企業が破綻すれば、金融機関の融資も焦げ付く。原油安で中東やアフリカなどの産油国の財政が悪化すれば、投資資金の引き揚げや債務返済の遅延を招き、金融市場を動揺させかねない。それらが円高株安につながれば、「コロナ不況」で急失速した日本経済の回復も遠のこう。
 原油安が世界経済の波乱要因になる可能性が高まっている。足元のメリットのみに目を向けるのではなく、そのデメリットも注視していかなければならない。
 原油安が地球温暖化対策に与える影響も心配だ。石油や天然ガスによる発電のコストが長期にわたって下がれば、再生可能エネルギーへの転換が滞る恐れがある。
 化石燃料からの脱却は地球環境保全に不可欠だ。それを怠る理由に原油安を持ち出してはならない。

カテゴリー: 社説

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