2020.04.28 16:30

「日本にいつ帰れるか…」コロナで暮らし、どうしゆう?(1)イスラエル編

世界中に感染の渦が広がっている新型コロナウイルス。海外で暮らす高知県関係者らにオンライン取材を行い、いまの暮らしをたずねました。

第1回目は、高知市出身で2011年からイスラエル中部の都市(Petah Tikva=ペタク・チクヴァ)に住む西山雅代さんの話です。


3月19日に不要不急の外出禁止令が出てから、ほとんど家から出ない生活が続いています。食料の買い出しや仕事以外の外出は厳しく規制され、最初は自宅から100m以内の外出しかできませんでした。今は少し緩和され、500mまではOKになりました。

外出時のマスク着用は義務化されていて、マスクなしで外にいるところを見つかると罰金(日本円で約6000円)を払わないといけません。マスクは品切れになることなく供給されています。不織布のマスクが50枚入りで3000円くらい。イスラエルではマスクの習慣がありません。おでこにマスクを着けていたり、鼻が出ている状態だったりしますが、とにかくみんなマスクを着けています。

町のスーパーでは、入口で体温をチェックされ、客用に消毒ウェットシートとゴム手袋が置かれています。入場制限のために店外で待つ時や、レジを待つ時も、間隔を空けるよう指示されます。特定の商品が品切れになったり、物価があがることは今のところないですね。

スーパー入り口で体温チェック(左)店に入る前に消毒シートで客がカートなどを拭く。白いかごの中にはゴム手袋も。(右)
スーパー入り口で体温チェック(左)店に入る前に消毒シートで客がカートなどを拭く。白いかごの中にはゴム手袋も。(右)


スーパーと薬局以外は、ほぼすべてのショッピングモール、商店、市場が閉鎖されています。海や国立公園も閉鎖。公園では子どもが遊べないよう遊具にテープが貼られていました。町のレストランはすべて閉鎖されていて、最近までテイクアウトの営業も禁止されていました。普段は人であふれる市街地も、がらんとしています。

普段人通りが多い商店街も閑散としている
普段人通りが多い商店街も閑散としている

私は3年前から日本料理のデリバリー店を営んでいますが、現在はほぼ休業中。デリバリーの営業は認められているけど、うちが感染源になったらと思うと怖い。スーパーへの卸しだけは続けていますが、しばらくは様子見かな。店舗営業ができずデリバリーを始めるお店はすごく増えました。宅配の人はみんな手袋を着けて、接触を避けるため、ドアの前に荷物を置いていきます。

今、オフィスへの出勤者を30%まで減らすよう通達されていて、友人の多くはリモートワークをしています。イスラエルは「中東のシリコンバレー」と呼ばれるくらい、ITやスタートアップの勢いがある国。柔軟な働き方へのハードルは低いのかもしれません。会社員の夫は職務上、通勤していますが、オフィスでは面積あたりの上限人数を超えないよう距離を保ったり、体温チェックがあったりするようです。

ここでは挨拶の基本がハグ、頬にキス。濃厚なスキンシップ、濃厚な人間関係の文化をもつ国です。特に家族間は本当に「濃い」。私が母とハグしたことないと言っても信じてくれません。でも今はみんな我慢。市長自らがスキンシップの自粛を呼び掛け、代わりに肘と肘をぶつけるようなジェスチャーなどをテレビで提案していました。

4月8日からの1週間は、ユダヤ教三大祭のひとつ「ペサハ」の期間でした。年に一度、親戚一同が集まって歌い、祈り、食事をする。まさに3密となるイベントですが、今年は厳しい外出規制が呼び掛けられました。

イスラエルは宗教の国。ユダヤ教の「超正統派」と呼ばれる人たちが暮らすエリアでは爆発的に感染が広がりました。(公用語の)ヘブライ語も使わず、メディアへのアクセスを制限している彼らには正しい情報が届きにくい。強い信仰心ゆえ「3密を避けて」「外出をやめて」と言っても礼拝堂に通ったりと、濃厚接触を避けられなかった事情もあるようです。

学校は休校中。再開のめどは立っていません。子どもがいる友人は、オンライン授業を一緒に見たり、宿題を見守ったりして「こんなに長い時間子どもと一緒に過ごせるのは幸せ」と話していました。イスラエルの人は本当に家族を大切にします。

私も高知で暮らす家族のことを思っています。いつ日本に帰れるか分からない。家族に何かあったらと思うと、不安です。高齢者や自営業者が多い高知の町のことも気になります。自粛が続き、苦しい思いをしている人がたくさんいるのではと、遠い国から心配しています。(聞き手・構成 木田名奈子)

閉鎖された市場
閉鎖された市場

ホームセンターで入場制限のため外で待つ人々
ホームセンターで入場制限のため外で待つ人々

市役所がある中心部の通り
市役所がある中心部の通り


(写真は西山さん提供)

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