2020.04.26 08:00

【PCR検査】「見えない敵」を明らかに

 新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査。日本は海外に比べて、検査件数が極端に少ないと指摘されてきた。
 社会で感染がどの程度広がっているのか。検査数を増やして明らかにしていけば、「見えない敵」が数字となって見えてくる。検査態勢のさらなる拡充が求められる。
 PCR検査は鼻の粘液などの検体を採取し、専用の機器と薬品でウイルス特有の遺伝子を調べる。
 新型コロナは感染しても約8割は軽症か無症状とされ、そうした人から感染が広がる点が厄介なところだ。だからこそPCR検査によって感染の全体像を把握することが大切になってくる。
 ウイルス封じ込めの成功例とされる韓国では、早い段階から大量の検査を実施。感染者を見つけ出し、無症状や軽症の人も含めて隔離する態勢をつくったことが奏功したとみられている。
 一方、日本では検査件数は抑えつつ、感染経路をたどってクラスター(感染者集団)を特定し、感染を封じ込めていく手法を取ってきた。ただし高知県も含めて全国で、感染経路が分からない感染者が相次いでいる。従来のやり方が限界を迎えていることは明らかだろう。
 感染拡大とともに検査へのニーズは高まっている。検査態勢の拡充は喫緊の課題だが、各自治体の相談センターや保健所などで検査に対応する人員の不足が深刻化してきている。検体を採る綿棒や防護具など、物資も足りていない。
 とりわけウイルス検査や検体の搬送、感染者の行動歴の調査など幅広い業務を担う保健所の疲弊が著しい。他部署からの応援やOBの再雇用によるマンパワーの確保、相談業務の外部委託などが急がれる。民間検査機関も一層活用し、検査の裾野を広げなければならない。
 高知県はPCR検査を積極的に行ってきた。県環境衛生研究所の検査数はこれまでに1300件を超えており、人口10万人当たりの検査数で全国平均を上回っている。
 発症前の人と接触したケースや、発熱やせきなどの症状のない濃厚接触者も検査する「高知方式」を確立。検査機器も追加し、1日に処理できる検体数を当初の48件から144件に増やすなど対応を強化してきた。
 人口10万人当たりで高知県の感染者数が多いのも、積極検査で感染者を多く見つけている側面がある。
 検査数を増やせば当然、見つかる感染者は増えていく。当初は軽症で自宅で療養していた人が、容体を急変させ亡くなる例も出ている。
 このため厚生労働省は自宅ではなく、自治体が用意し医療関係者が常駐するホテルや宿泊施設で受け入れる方針に切り替えた。こうした施設も確保しなければならない。
 負担が集中している現場を崩壊させない目配りをしながら、検査態勢を拡充する。国との連携はもとより、浜田省司知事のこれまで以上のリーダーシップが問われる。

カテゴリー: 社説

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