2016.07.20 08:15

奇跡の笑顔 お便り特集(中) 孤独、孤立と闘う

現在、大阪で1カ月間の訓練に励んでいる浜田奈那ちゃん(写真は母撮影)
現在、大阪で1カ月間の訓練に励んでいる浜田奈那ちゃん(写真は母撮影)
■大阪に通い訓練する理由■
高知市 保健師 浜田知加(37)
 娘の奈那は重度の聴覚障害と福山型筋ジストロフィーです。2014年、連載「眠れぬ母たち」の中で紹介された後、私は2015年、職場に復帰。娘は1年間の保育園を経て、2016年春から高知県立ろう学校幼稚部に入学。心身両面で急成長しています。

 この数カ月間で単純な手話を少しずつ覚え、言葉にできない思いは体で表現し始めました。家では見ることのできない、表情、行動をたくさんしているようで、担任の先生が書いてくださる連絡帳が楽しみでたまりません。

 表現力がついた娘は自宅にいる時、自分の思いが通らないと急に全身を脱力させ、頭を机にぶつけることをし始めました。筋力が弱い病気なので、それが自己表現なのです。娘の急成長に私の心身がついていけず、限界に近い状態になっていた時に、音十愛ちゃんの連載記事が載り、泣きながら読みました。

 私たちは、東京や大阪、岡山へ時々、通院して専門の治療を受けています。7月6日からは大阪発達総合療育センターで約1カ月間の集中リハビリ訓練を受けています。娘の付き添いのため私と夫、私の母の3人が1週間ごとに交代します。

 なぜ、そこまでして大阪へ行くのか。高知と違うからです。各職種が連携し、チームとして取り組んでくれます。カンファレンスには全職種が顔を出し、娘にとっての「いつまでに何をどうやって」という目標を共有。そして「問題解決型」ではなく「子どもの潜在能力・可能性を引き出す関わり方」をしてくれます。

 例えば、「食」の問題。娘は4歳ですが、食形態は健常児の生後7、8カ月時程度。舌でつぶせるぐらいの硬さしか食べられず、どんなふうに摂食させたらいいのか悩みが尽きません。こうした問題に対して、歯科関係者や言語聴覚士はもちろん、理学療法士は食べる時の椅子や姿勢、作業療法士はスプーンやフォークなど道具の工夫で関わり、そこへ看護師や医師、介護士、ソーシャルワーカーらが家族と共に考えてくれるのです。

 でも、県外に行くのは経費もかかるし、リスクも伴います。娘は発熱するとけいれんを起こし、10分間以上に及ぶ時もあります。親子2人で県外へ向かう最中にけいれんを起こしそうになった時は病院もどこにあるか分からず、恐怖でした。以来、乗り物に乗る前は激しい不安に襲われ、今は極力、家族で行くようにしています。

 人口の少ない高知では難病の症例数が少なく、同じ境遇の相談相手もおらず、家族は孤独や孤立を感じることも少なくありません。

 重度障害のある子が生まれても、家族が普通の生活が送れるようにと願います。そのために▽家族のレスパイト(休息)がとれること▽障害児に関わる各職種がチームとして連携し関わること▽そのチームのコーディネーターや、上級アドバイザーがいること▽高知県全体でそのシステムをどう構築するのかを考えていくこと―が必要と感じます。

 何をどうしていくべきなのか、私たち当事者の家族も、他の家族や支援者の方々とともに考え、行動したいと思います。


■血だらけの心、よく耐えた■
高知県内 メイシー(ペンネーム) 
 連載を熟読しました。高知新聞紙面への登場にきっと悩み抜き、覚悟を決めて承諾された山崎理恵さんと、伝えたいという新聞社側の思いがつながり、私たちの心に届いたことはもうそれだけで奇跡です。

 7回目の「飛んで来た言葉のナイフ」は、紙面に穴があくほど何度も読み返しました。これはもう自分のことと重ねて痛く刺さりました。

 私もシングルマザー。自閉症スペクトラムの娘がいます。3年半前、高知新聞に「エリンちゃんは不思議ちゃん」のタイトルで連載しました。「目に見えない障害」をどうしたら周囲に理解していただけるのか? がそのきっかけでした。

 山崎さんとは状況がやや異なりますが、「知ってほしい」と願う「志」は同じです。「目で見て分かる障害」に関しては、その支援態勢が整っているものと思っていたので連載が進むごとに、「いったいどうなっているんだ!?」と驚きが隠せませんでした。道なき道を開拓するのは大変なことです。口で言うのは簡単なことですが、それを体験し心を開いて勇気あふれる行動に移していくということは、強い心のもとでしかできないことを私は知っています。

 山崎さんは、私たちの想像をはるかに超える大変さを乗り越え、目の前のことを一つ一つ手を抜かず頑張ってこられたのも明らかです。それゆえ、同じ人間だからこそ「同情」ではなく、ここまで生きてきた姿勢を信頼してほしかった。そんな気持ちで読ませてもらいました。好奇の目と闘ってきた日々について、山崎さんが「ここは絶対、新聞に載せてほしいと思ってます」と言われた場面は、私も心の底からよくよく分かりました!

 心の中が血だらけの時もよく耐えて…。頑張りに頭が下がる思いです。生き抜いて新聞に載り、私の心に届けてくださった。ありがとうございました。

■とびっきりの笑顔に感涙■
高知市 西村聡実(36)
 私も2017年、小学1年生になる重度自閉症の娘がいます。健常児のお兄ちゃんは現在、4年生。本当に悩みは尽きません。いい時も悪い時も波のようにやってくる。「なるようにしかならん。運命の神様はきっといる」という山崎理恵さんの言葉は心に響きました。私もその姿勢で子育てに臨んでいます。それはあきらめでなく、「全てを受け入れる」という強い信念です。そうですよね、理恵さん。

 毎日、胸が苦しくなりながらもしっかり読んでいたのですが、最終回の音十愛ちゃんのとびっきりの笑顔と歩く姿を見て感涙しました。お母さんの頑張りはきっとこの笑顔を見るためだったんだと思います。この笑顔を守るために強く生きているんだと。本当に尊敬します。私も2人の子供の笑顔を消すことにならないように日々、生きています。

 全く障害は違いますが、理恵さんの気持ち、苦しさ、つらさ、すごく分かります。これはきっと、私たちに与えられた意味のある人生、運命なんですよ。私は娘との生活で、今まで知らなかった世界、気付かなかった人の気持ちなどたくさん知ることができました。きっと娘を育てているのでなく、私が娘に育てられているのだと思います。お互い死ぬまで、いえ、死んだ後も心配事は尽きませんが。

 自分のできる範囲で頑張っていきましょう。子供たちの最高の笑顔と幸せを願って。


■私はそこまでできるのか■
高知県内 匿名希望
 私も「障害児」と区分される長女を育てています。現在2歳。妊娠中は異常なかったのですが、出産時に「先天性多発性関節拘縮症」という疾患があることが判明しました。幸いにも医療機関の数々の医師、看護師さんたちを含めたフォローもあり何とか日々、暮らしています。

 第2部「成長編」を読ませていただくと、音十愛ちゃんの話は人ごとではありません。高知で「障害児」が通学する困難さが明確に厳しく出ていると思いました。現在、長女は医療行為はありませんが、自己にて歩行するなどは困難で、日常生活は全介助です。

 山崎さんはシングルマザーでこのような活動をし、お子さんを通学させることができましたが、実際、自分ならそこまでできるのだろうかと悩みます。現在、仕事をしていますが、つど重なる子供の入院で職場にも迷惑をかけ、退職するべきか検討中です。

 生活基盤をしっかりさせ、わが子に良質な勉学環境を整えてあげたいと思う半面、病院とリハビリ施設に通いながら、自分たち家族の生活をしていくことで精いっぱい。綱渡り状態です。音十愛ちゃんのケースを見習いたいと思いながらも、どう動けばよいか分からず、この先の展望も描けず悩んでいます。

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