2020.04.21 08:00

【辺野古移設】新たな打開策探るべきだ

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設問題は、県民投票などで示された民意が無視され、計画への疑問も拭えないまま次の局面を迎えようとしている。
 政府は今月末にも、辺野古の埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤の改良工事に向けた設計変更を沖縄県に申請する見通しだ。
 この設計変更は多くの疑問を引きずっている。
 軟弱地盤は砂や粘性土からなり、地盤改良が必要な水深は最大で約70メートルに達するとされる。地盤強度がマヨネーズ並みに軟らかい場所も見つかっている。
 政府は昨年12月、これに対応するため計画の見直し案を発表した。総工費は当初計画額の約2・7倍となる約9300億円に膨らみ、海底や陸上の一部に砂を締め固めたくいなど7万本程度を打ち込むという。
 これに伴い、工期も当初想定の5年から約9年3カ月に延長された。飛行場整備も含めた事業完了に必要な期間は約12年となる。
 辺野古移設に反対する沖縄県の玉城デニー知事は当然、申請を承認しない方針だ。国と県が新たな法廷闘争に入り、普天間飛行場の返還はさらに遠のく可能性もある。
 日米両政府は2013年に普天間の返還計画に合意。辺野古移設工事は18年12月に土砂投入が始まった。政府は、普天間返還は「22年度またはその後」としてきた。
 このスピード感が、「普天間の危険性除去には、辺野古移設が唯一の解決策」とする政府の主張を支えてきた面もある。
 しかし、設計の変更によって普天間返還は30年代以降にずれ込むことが必至だ。普天間の危険性を一日も早く取り除くという原点に立ち返れば、既に工事を強行する前提は崩れてはいないか。
 政府は長い時間と1兆円近い巨費を要する計画に固執せず、米国政府や県と新たな打開策を探っていく転機にするべきである。
 辺野古移設を巡っては3月下旬、県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決の違法性が争われた訴訟で、最高裁は県側の上告を棄却。県の敗訴が確定した。
 訴訟は、防衛省沖縄防衛局が行政不服審査法による審査請求を申し立てたことが焦点だった。同法は本来、行政から不当な処分を受けた国民の権利救済が目的だ。
 同法に基づく制度を国の機関が利用したことには、専門家からも「私人への成り済ましにほかならず、制度の乱用だ」と批判が噴出。政府の強引な姿勢を浮き彫りにした。
 県が敗れはしたが、訴訟は埋め立てそのものの適否が判断されたわけではない。政府と県の対話による解決に向けた努力が求められる状況に変わりはないだろう。
 安倍政権は、なお聞く耳を持たない姿勢で工事を強行していくのか。コロナ禍の下でも、沖縄で進んでいる事態は国民全体で関心を持たなければなるまい。

カテゴリー: 社説

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