2020.04.20 08:00

【温室ガス削減】危機踏まえた積極政策を

 地球温暖化が進んでいる。日本の平均気温はこの冬(昨年12月~今年2月)、平年値を1・66度上回り、1897年の統計開始以降で最も暖かい冬だった。気候の危機を肌で感じ、恐れを抱く人も増えている。
 そうした中、地球温暖化に対処する「パリ協定」に基づき、国連が提出を求めていた温室効果ガスの2030年度の排出削減目標について、政府は現行の「13年度比26%減」に据え置くことを決めた。
 国連への提出は5年前以来、2回目になる。各国に削減目標の上積みが求められていたが、世界第5位の「排出量大国」である日本がこれに応じず、対策強化への期待を袖にした形になった。
 小泉進次郎環境相はこの削減目標について、「積極的なメッセージとして国内外に発信したい。さまざまな制約がある中で、最善の中身となった」と述べた。
 強弁にしか思えない。日本は地球温暖化対策に「後ろ向き」というメッセージとして、国内外で受け取られていることは明らかだ。
 パリ協定では、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指す。
 しかし日本などが掲げている削減目標のレベルでは、今世紀末までに3度上昇すると予測されている。
 各国が削減目標の上積みを繰り返し、それに見合った対策を強化していかなければ、人類にとって非常に厳しい地球環境が待ち受けているだろう。
 温室効果ガスの排出量トップ5は、1位から順に中国、米国、インド、ロシア、日本だ。排出量が多い国ほど、地球温暖化に対する責務が重いことは言うまでもない。
 日本の排出量は18年度、二酸化炭素(CO2)換算で前年度比3・9%減の12億4千万トンで、1990年度以降で最も少なかった。原発9基が稼働し原子力による発電量が倍増したこと、暖冬によりエネルギー需要が抑えられたことなどが要因だ。
 排出量は5年連続で減少した。とはいえ、削減目標の2013年度比26%減と比べてみると、18年度は13年度比12%減であり、大きな開きがある。この差を埋める対策には、問題を先送りする発想や、積極性のない政策では追いつかない。
 日本は、CO2を大量に出す石炭火力発電所を国内で新設し、海外の建設支援も続けている。強く批判されてきたが、今回も小泉環境相は「脱石炭」を表明しなかった。
 この先の地球温暖化対策を考えれば、私たち国民も化石燃料に依存した生活を変える必要がある。
 しかし政府が今のように後ろ向きの姿勢を見せたままでは、国民が行動を変える可能性は低いだろう。
 政府は、次に国連へ削減目標を提出する5年後を待たず、見直しを検討する方針を示している。国のエネルギー基本計画の次期改定も21年に迫る。
 「脱石炭」を手始めとする大胆な政策転換に踏み出さねばならない。

カテゴリー: 社説

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