2020.04.14 08:00

【発送電分離】公平、活発な競争のため

 大手電力会社に送配電部門の別会社化を義務付ける「発送電分離」が今月から始まった。鉄塔や電柱など大手が持つ送配電網の中立性を高め、新規参入の電力会社との公平な競争を促す狙いだ。
 日本では大手電力会社が管内の発電や送電、電気の小売りを一手に握る「地域独占」が続いた結果、電気料金の高止まりが批判され始めた。東日本大震災では大手の間で電力融通が機能せず、東京電力が計画停電に追い込まれるなど地域独占の弊害が浮き彫りになった。
 このため政府は2015年、大手の管内をまたいで電気のやりとりを調整する電力広域的運営推進機関を創設。16年に電力小売りを自由化するなど、電力システム改革を進めてきた。発送電分離は改革の締めくくりとなる。
 大手電力から別会社化された送配電部門は、大手や新規参入する会社「新電力」から送電手数料を取って経営を成り立たせる。新電力にも大手の小売りや発電部門と同じ条件で送配電網が開放されれば競争が促され、料金値下げやサービスの多様化が期待できよう。
 とはいえ、課題は残る。
 大手のうち東電ホールディングスと中部電力は、持ち株会社の傘下に送配電会社のほか発電や小売りの子会社が収まる。四国、中国、九州、北海道など各電力は送配電会社を子会社とする。
 送配電会社は大手電力とオフィスを離し、役員や従業員の兼業も規制する。とはいえ大手電力のグループ内に残ることから、新電力側には「顧客情報を大手に握られたり、不利に扱われたりしないか」といった懸念がある。
 公平な条件の下で競争が行われるかどうか。国の「電力・ガス取引監視等委員会」などによるチェックと検証が欠かせない。
 高知県でも須崎市や日高村と民間企業が出資し、電力小売り事業を行う新電力会社の設立準備が進んでいる。太陽光発電など地元でつくられた電力を中心に、既存の電気料金より割安で販売。利益を防災や省エネに充てる形で地域に還元することを目指している。
 こうしたエネルギーの地産地消を進めるためにも、送配電網の公平な開放は不可欠である。送配電会社の中立性が強く求められる。
 発送電分離が送配電会社の統合を進める可能性も指摘されている。鉄塔などの老朽化対策には巨額の資金が必要で、企業規模の拡大が有利となるからだ。
 現在、太陽光発電による電力が増えすぎると、大手電力が太陽光発電の一時停止を事業者に求める「出力制御」が行われる。再生可能エネルギーの導入を広げるにも、電線の増強などが必要だ。
 送配電会社間の競争や統合で会社の「体力」が増せば、再生エネ普及にも取り組みやすくなろう。発送電分離を再生エネの一層の拡大につなげたい。

カテゴリー: 社説

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