2020.04.13 08:00

【親の体罰禁止】恐怖心で支配しないで

 親による子どもへの体罰を禁じた改正児童虐待防止法などが今月施行された。子どもの成長と発達において、体罰はやむを得ないものではない。国がしつけの行為として禁止した意義は大きい。
 しつけ名目の体罰が、家庭という「密室」でエスカレートしたむごたらしさ。父親によって命を奪われた船戸結愛(ゆあ)ちゃんや栗原心愛(みあ)さんの事件は、そうした虐待の怖さを社会に知らしめた。
 それらの事件を受けて法改正がなされた。国は運用における指針において、体罰について初めて定義し、身体の苦痛や不快感を与える行為と示した。
 具体例として、注意したが言うことを聞かないので頬をたたく▽いたずらしたので長時間正座させる▽宿題をしなかったので夕飯を与えない―などを挙げている。
 一方、しつけについては、体罰とはっきり区別している。「人格や才能を伸ばし、社会で自律した生活を送れるようにすることなどの目的からサポートして社会性を育む行為」とした。
 国は啓発のパンフレットなどを作成し、痛みや苦しみ、恐怖心で子どもを支配するようにコントロールするのではなく、大人が言葉や手本を示すことによってしつける工夫を具体的に紹介している。
 折しもいま、新型コロナウイルスの感染拡大によって、家庭内で子どもの虐待やドメスティックバイオレンス(DV)のリスクが高まっていると指摘されている。
 臨時休校や外出自粛要請による在宅勤務などにより、家族が閉じ込められるように過ごすことで、虐待やDVにつながるストレスが強まっている状況があるためだ。
 既に虐待やDVが起きている家庭では接触時間が増えてさらに激しくなったり、経済不安などが引き金になって新たな被害が生まれたりする可能性もある。
 しかもタイミング悪く、子どもたちの入園や入学、クラス替えの時期と重なった。担任の先生がクラスの子や保護者とあまり接する機会のないまま、臨時の休みに入ってしまった場合も少なくなかろう。
 気になる家庭環境の子どもの姿が日常的に確認できない状況でもある。コロナ禍のせいで救いの手が届かない状況に陥らぬよう、保育所や学校、児童相談所などの関係機関はリスクのある家庭の状況を把握し、連携することが求められている。
 また国は今回の指針で、子どもに怒鳴るなどの暴言についても、体罰ではないが「健やかな成長・発達に悪影響を与える可能性がある」と強調している。
 日本社会には、指導上の体罰や暴言を一定容認する意識が根強い。それが学校や職場で起きるハラスメントの温床にもなっている。
 親子の間はもちろん、社会のあらゆる場面において、やむを得ない体罰や暴言などはない。時間をかけて意識改革に取り組む必要がある。

カテゴリー: 社説

ページトップへ