2020.04.11 08:00

【休業補償】国は公平な仕組み検討を

 新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、緊急事態宣言にどう実効性を持たせるか。感染の終息後に回復できるだけの力を国民経済にどう与えるか。政府は整理し直すべきではないか。
 感染が急拡大する東京都が新型コロナ特措法の緊急事態宣言を受けた休業要請に踏み切った。
 対象業種・施設は大学や学習塾、劇場や映画館、美術館、ナイトクラブ、バー、パチンコ店など幅広い。
 要請に応じた中小事業所には「感染拡大防止協力金」として単独店舗事業者は50万円、複数店舗を持つ事業者には100万円を支給する。
 国内で最も状況が悪化している首都の封じ込め策が奏功するかどうかは、他の自治体にも影響しよう。
 特措法には休業要請に伴う補償の規定はないが、これまでの外出自粛要請でも既に大きな打撃を受けている事業主は多い。休業要請があっても、やむにやまれず営業を続けては感染抑止の効果は薄くなる。
 法的裏付けがある休業要請をしておきながら、損失は自己責任というのは事業主に酷に過ぎる。東京の50万~100万円が十分な額かどうかは不明にしても、行政による損失補償は当然である。
 疑問が残るのは政府と都の調整が難航し、宣言から3日を要したことだ。休業要請に前向きな都に対し、政府は当初、外出自粛要請の効果を見極めるべきだとして2週間程度見送るよう求めた。
 政府には経済の停滞や損失補償を回避したい思惑があったとみられるが、そうした調整は発令前に済ませておくべきではなかったか。政府への後手批判はここでも免れまい。
 感染の終息を最優先する自治体に対し、過剰な私権制限への懸念がある特措法を成立させた政府が実は危機感が疑わしいようでは困る。
 休業要請への都市間の足並みにも課題が残っている。宣言の対象7都府県のうち神奈川、埼玉両県は東京と歩調を合わせたが、現時点ではその他の対応は分かれそうだ。財政基盤が強い東京とは異なり、独自支援が難しい財政事情がある。
 全国知事会は、休業やイベント自粛の要請に応じた企業などへの損失補償を国に求める緊急提言をまとめている。しかし、政府は直接補償を否定。収入が大幅に減少した事業者に給付金を出す方針だが、対応が不十分という指摘もある。
 事業者が打撃を受けているのは東京だけではない。地域間の公平性を保つ仕組みを考えるのは、政府の責任である。
 確かに財源の問題はあろう。しかし、事業規模を重視した政府の緊急経済対策には、公共施設の木造化支援といったコロナとは直接関係なさそうな施策も並んでいる。見直しの余地はありはしないか。
 安倍晋三首相は感染終息後の経済の「V字回復」に言及している。ただ、その前に国民の経済基盤が壊れていては元も子もあるまい。できる限りの支援策の再検討を求める。

カテゴリー: 社説

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