2020.04.10 08:00

【米大統領選】構図は決まったものの

 米大統領選の民主党候補指名を目指していた左派のサンダース上院議員が選挙戦からの撤退を表明した。これで中道のバイデン前副大統領の指名獲得が確実になった。
 11月の本選は、共和党支持層の9割を固めるトランプ大統領とバイデン氏が対決する構図が固まった。
 新型コロナウイルスが猛威をふるう中、人々の暮らしや世界経済、金融、貿易などさまざまな面で混乱が続いている。超大国・米国のトップは大きな影響力があり、選挙の行方は世界が注目している。
 構図は決まったものの、熱狂的な支持者がいる共和党トランプ氏に比べ、左派と中道の二大勢力に割れている民主党ではバイデン氏の支持態勢は盤石とはいえない。
 2月に始まった各州の予備選や党員集会ではサンダース氏が支持を集め、本命視されていたバイデン氏は資金集めなどに苦労して出遅れた。
 3月上旬のスーパーチューズデー前からバイデン氏が盛り返し、伸び悩んだサンダース氏が撤退に追い込まれた格好だ。
 ただ、バイデン氏が息を吹き返したのは、左派政策を強調するサンダース氏よりトランプ氏に「勝てそうな候補」という消極的理由だったとの見方が強い。
 4年前の予備選にも出馬したサンダース氏は国民皆保険制度や大学無償化などを引き続き訴え、若者らから支持されてきた。
 バイデン氏は8月の民主党大会で正式に候補に指名される見込みだ。前回の大統領選は、左派と中道の対立が党分裂を生み、トランプ大統領誕生の一因にもなった。
 二大勢力を結束させ、一枚岩でトランプ氏に対抗する態勢がつくれるか。この夏、バイデン氏と民主党は正念場を迎える。
 一方で、再選を目指すトランプ氏は就任以来、ポピュリズム(大衆迎合主義)政治による社会分断や「米国第一」の外交などで世界に大きな波紋を投げかけてきた。
 新型コロナ問題でも、「中国ウイルス」との呼称を用いるなど、中国やアジア系住民への差別拡大に火をつけるような発言をしている。世界保健機関(WHO)の対応が「中国寄り」だとして、米国の拠出金見直しまで持ち出した。
 各国政府や医療関係者が対応に追われている最中に、思慮のない行動と言わざるを得ない。国のトップとして品位を疑う言動は枚挙にいとまがない。
 前回の米大統領選は民主党クリントン氏とトランプ氏の中傷合戦に終始した。バイデン氏は息子が絡んだウクライナ疑惑があり、トランプ氏は攻撃してくるはずだ。またネガティブキャンペーンに陥っては米国民だけでなく世界が失望するだろう。
 トランプ氏の1期目が世界にとってどんな4年間だったのか。分断や格差是認、自国第一主義が世界をどう変化させたのか。このままで果たしてよいのか。そうした根本問題を大統領選で議論してほしい。

カテゴリー: 社説

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