2020.04.08 08:00

【緊急事態宣言】国民との合意が不可欠だ

 安倍晋三首相が、新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言を出した。
 対象地域は東京、大阪、福岡など都市部を中心とする7都府県だ。期間は1カ月程度とし、効力が発生した。
 宣言の発令で対象地域の知事には▽不要不急の外出の自粛要請▽学校や映画館などの使用停止や制限の要請・指示--といった権限が委ねられる。
 さらに▽臨時の医療施設のための土地や建物の使用が、所有者の同意なしでも可能になる▽食品や医薬品など物資の売り渡しで、保管命令に応じない場合は罰則規定がある--など強制力を伴うものもある。
 要請や指示も法的な裏付けを持つことで、これまで以上に市民の行動や私権を制限する措置といえる。政府や自治体は抑制的な運用に努め、市民の側も行き過ぎた制限がないか注意が必要だ。
 対象地域の自治体には、宣言の目的や行動について、必ずしも十分に伝わっていない面がある。政府は項目ごとに、明確な目的と具体的な行動を説明しなければならない。
 安倍首相は「海外のような都市封鎖(ロックアウト)を行うことはしない」と明言している。だが、欧米の先進国で爆発的患者急増(オーバーシュート)が起き、慌てて宣言にかじを切った感は否めない。
 外出自粛を徹底すると人の動きが止まり、経済活動が停滞することはやむを得ない。経済、社会活動を可能な限り維持しながら感染拡大を防ごうとすれば、対策に遅れも生じかねない。
 宣言について首相は「人と人との接触を極力減らすため、これまで以上の協力をいただき、医療体制を整えるためだ」と説明する。国民の協力を仰ぐのであれば、科学的根拠もある丁寧な説明が必要だ。
 東京都では感染ルートを追えない患者が急増し、病床や医師の不足といった医療崩壊の危機が迫っている。医療の専門家の間にも、宣言のタイミングが遅すぎるといった批判がある。
 いま政府・自治体が最優先すべきは、医療崩壊を食い止めることだ。重症患者の入院先や医師の確保、院内感染の防止、人工呼吸器の準備など、やるべきことは多い。宣言を機に、医療機関も連携を強化し、体制を再構築してほしい。
 幸い高知県は今回、宣言の対象地域には入らなかった。しかし感染者数は四国の中で最も多い。宣言の対象地域は感染者が急増すれば、7都府県以外に追加もあり得る。
 浜田省司知事は人の密集や近距離での会話、換気の悪い空間という「3密」を避けることを繰り返し呼び掛けている。宣言以前に新型コロナの常識として守りたい。
 国民や県民の合意がなければ宣言は成り立たない。刻々変化する情勢に合わせた説明と、情報公開が必要なことは論をまたない。

カテゴリー: 社説

ページトップへ