2020.04.02 08:00

【屋内原則禁煙】一歩前進だが課題は多い

 受動喫煙対策の強化を図る改正健康増進法が全面施行された。1日から飲食店や職場、ホテルのロビーなどのほか、パチンコ店や劇場など不特定多数の人が利用する施設が原則禁煙となった。
 そうした施設では加熱式たばこを含めて専用室でないと喫煙できない。最も受動喫煙しやすいとされる飲食店が対象に加わったのは禁煙や分煙化を進める上で意味がある。
 昨年7月には全国の学校や病院、行政機関、児童福祉施設の敷地内が一足早く原則禁煙となっている。不特定多数の人が利用する施設などがほぼ対象になったことになる。
 厚生労働省の「たばこ白書」によると、受動喫煙が原因で年間1万人以上が亡くなっている。嗜好(しこう)の問題では済まされない状況で、しっかりとした対策が必要だ。
 今回の全面施行で気になるのが禁煙の「経過措置」だ。
 資本金が5千万円以下で客席面積100平方メートル以下の既存の小規模飲食店は対象から外された。「喫煙可」などの標識を掲示して管轄の保健所に届ければ店で吸える。
 当初の厚労省案は「例外」となる店舗面積が30平方メートル以下のバーなどに限っていた。客離れを心配する小規模飲食店などの団体や、たばこ業界に配慮する自民党のたばこ議員連盟がそれに「待った」をかけた。
 厚労省の試算では、対象から外れる飲食店は全体の半数を超えている。受動喫煙対策としては一歩前進だろうが、経過措置がいつまで続くのか分からない。このままではこの法律の趣旨が「骨抜き」になりかねない。
 2003年に施行された健康増進法は、公共の場所の管理者に受動喫煙防止を求めてきたが、努力義務にとどまっていた。欧米諸国などは屋内の公共の場所は原則禁煙が当たり前で、日本の対策は「世界最低水準」と批判されてきた。
 そうした折に東京五輪・パラリンピックの開催が決まった。世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は「たばこのない五輪」を推進しており、慌てて強化に乗り出したという経緯がある。
 新型コロナウイルスの感染拡大で五輪開催は来夏に延期となったものの、東京都は国の法律より厳しい条例を施行している。
 開催都市としての責任もあったのだろうが、従業員を雇う店は店舗面積にかかわらず原則として屋内禁煙とした。客だけでなく従業員の受動喫煙をいかに減らしていくか。大きな課題が見えてくる。
 県内では約9千の飲食店が対象となる。喫煙専用室を設けたり、屋内を全面禁煙にしたりするなど対応に追われている。専用室を設ける際は公的助成があるが、経営状況によっては難しい店もあるだろう。
 法律も大事だが喫煙者一人一人がマナーについて改めて考えたい。他人の健康を思いやることで、たばこを取り巻く雰囲気はもっと変わるはずだ。

カテゴリー: 社説

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