2020.03.30 08:00

小社会 花明り

 満開の桜に降りかかる雪―。関東地方を映したきのうのニュースに驚いた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、東京都が外出自粛を呼び掛けた効果もあったのだろう。渋谷の交差点は人通りが少なく、そこに雪が舞っていた。

 〈月雪花は一度に眺められず〉。そんなことわざがある。秋の月や冬の雪、春の桜といった季節の代表選手をふつうは一緒に観賞できない。「良いことがそろうことはない」といった意味で使われている。

 自粛が求められる前から、外出を控えて自宅で過ごす「巣ごもり消費」という言葉が紙面によく登場した。真冬並みに下がった気温で体調を崩さなかったのか心配したが、雪と花が競合する光景を暖かい巣から眺めた人もいただろう。

 この時季の雪はたしかに珍しい。だが、今も昔も天気は気まぐれで人をあっと驚かせる。お天気博士の故倉嶋厚さんによると1908(明治41)年4月9日、東京は積雪20センチを観測している。

 「桜田門外の変以来…」。新聞は当時、そんな表現で雪を伝えたという。雪の重みで電線や電話線が切れ、「何不自由なき東京市も俄然(がぜん)無交通の世界」になったと報じた(「人生気象学」)。外出自粛で、街中の人が減った今の東京と重なる。

 東京に限らず、ウイルスの感染者が増え続けている。闇の中で、満開の桜の近辺がほのかに明るいことを「花明り」という。苦しいからこそ、その光を思う。


3月30日のこよみ。
旧暦の3月7日に当たります。みずのえ さる 三碧 先負。
日の出は5時56分、日の入りは18時25分。
月の出は9時20分、月の入りは23時44分、月齢は5.7です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で2時43分、潮位69センチと、15時21分、潮位27センチです。
満潮は8時32分、潮位150センチと、21時57分、潮位135センチです。

3月31日のこよみ。
旧暦の3月8日に当たります。みずのと とり 四緑 仏滅。
日の出は5時55分、日の入りは18時26分。
月の出は10時04分、月齢は6.7です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で3時16分、潮位82センチと、16時11分、潮位34センチです。
満潮は9時00分、潮位142センチと、23時07分、潮位125センチです。

カテゴリー: 小社会コラム

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