2020.03.29 08:00

【5G開始】安全性の確保は大丈夫か

 これまでの常識を超える高速大容量通信が可能な第5世代(5G)移動通信システムがついに日本でも始動した。
 米国と韓国が先行していたスマートフォン向け5Gサービスを、国内携帯電話大手3社が相次いでスタートさせた。
 5Gは、4Gと呼ばれる現行の移動通信システムより通信速度が数十倍速い。2時間の映画をわずか3秒でダウンロードできるといい、移動通信は新しい時代に入ったといってよいだろう。
 現状ではスマホで高精細な動画やゲームを楽しむことに焦点が当たっているが、5Gは幅広い分野への活用が期待されている。
 4Gではネットによる動画中継や機械の遠隔操作には、通信速度に限界があり、遅延が発生していた。これが5Gになると大幅に解消され、時間差のない中継や操作ができるようになるという。
 乗り物など多くの機械をネットにつなげ、同時に管理することも可能だ。これらによって遠隔手術や自動運転も実現できるようになると指摘されている。
 別の言い方をすれば、5Gを使った技術やサービスの開発は大きなビジネスチャンスになる。日米中韓が激しい競争を展開しているのもそのためだ。総務省は、5Gの普及で期待される経済波及効果は46兆円を超えるとみている。
 期待が膨らむ一方で、5Gは課題が多いことも忘れてはならない。
 スマホサービスは現状では利用地域は限られている。NTTドコモの場合、今月末時点で、利用可能な地域が高知を含む29都道府県の空港や商業施設など150カ所にとどまる見込みだ。
 電波の届く距離が4Gに比べかなり短く、その分、大量の基地局が必要になる。その整備が進まないことには利用地域が広がらず、利用者の増加も望めまい。
 4Gのスマホ端末では5Gサービスが受けられず、大半が10万円を超える高額端末を購入する必要があることも課題だ。利用格差が生じかねない。
 情報セキュリティーも懸念材料の一つだ。あらゆるものがネットにつながり、便利に高度に使う社会になればなるほど通信の安全性が問われる。不正アクセスなどで誤作動を起こしたり、機能を停止したりするようでは、5G社会に明るい展望は抱けない。
 産学官が連携して、地域の5G普及を戦略的に進めたり、セキュリティー強化に力を入れたりすることが重要だ。もちろん国際競争に負けないよう5Gサービスの開発にも連携が必要だが、それも安心が伴ってこそだろう。
 普及の契機になるとみられていた東京五輪・パラリンピックの開催延期が決まった。5G始動は出はなをくじかれた格好だが、関係機関はこの先も信頼を得る地道な活動が欠かせない。

カテゴリー: 社説

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