2020.03.27 08:00

【河井夫妻】国会にいる資格がない

 国会議員という重い職責を負いながら、この夫妻は説明責任を果たさないまま、何を逃げ回っているのだろう。
 自民党の河井案里参院議員=広島選挙区=が初当選した昨年7月の参院選を巡り、広島地検は案里氏の公設秘書と、案里氏の夫で前法相の克行衆院議員=広島3区=の政策秘書をそれぞれ起訴した。罪名は車上運動員に法定上限を超える報酬を支払った公選法違反(買収)だ。
 国会議員夫妻の秘書がそろって刑事罰を問われる異常事態といえる。地検は案里氏の秘書について、連座制が適用される組織的運動管理者に当たるとみて、迅速に審理する「百日裁判」を申し立てている。
 禁錮以上の刑が確定し、広島高検が提起する行政訴訟で適用対象と認定されれば、案里氏の当選が無効になり、失職する。連座制を視野に入れる検察には、全容解明に全力を挙げてほしい。
 それにしても河井夫妻は事件発覚以来約5カ月、国民に対して説明責任をほとんど果たしていない。国会開会中に夫妻の事務所が家宅捜索を受けても、捜査中を理由に「刑事裁判の行方を見守る」という短いコメントを出すばかりだ。
 案里氏は秘書が起訴された後、世耕弘成参院幹事長と面会し、「今まで通り議員活動を続けたい」と伝えたという。「選挙活動に専念していたので、秘書がどういう業務だったかを知る由もない」と語ったと、世耕氏が記者団に伝えた。
 記者会見も開かずに、秘書だけに責任を負わせるかのような発言だ。与野党から夫妻の説明を求める声が上がったのも当然だろう。国会にいる資格がないといっても過言ではあるまい。
 夫の克行氏の責任も重い。案里氏の陣営の実質的な選対責任者は克行氏だったとされる。細部にまで指示を出すLINE(ライン)のメッセージが残っている。車上運動員が街宣車で訴える文言も自ら決めていたという、元選挙事務所のスタッフの証言もある。克行氏が買収に関与した可能性も否定できない。
 克行氏は案里氏の疑惑が発覚して辞任するまで、法相を務めていた。公職選挙法の買収は、違法性を帯びた金品で選挙結果を左右しようという悪質な犯罪だ。克行氏は政治的責任の重さを自覚すべきだ。
 さらに昨夏の参院選広島選挙区に介入した安倍晋三首相や菅義偉官房長官、自民党執行部の責任も重大だ。改選数2の選挙区に2人目の公認候補として案里氏を擁立し、現職候補の10倍の1億5千万円を投入して支援した。
 河井夫妻に説明責任を果たすよう強力に指導すべきだ。地元には「党はなぜこれほど夫妻に寛容なのだろう」との疑問の声がある。
 自らの秘書の刑事責任が問われるこの期に及んでも、出処進退を含めて国民への説明を拒む。これ以上政治不信を招かないためには、夫妻そろって議員辞職するしかあるまい。

カテゴリー: 社説

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