2020.03.26 08:00

【五輪延期】うまくリセットできるか

 新型コロナウイルスの感染症が世界中で猛威を振るい、終息が見通せない状況では、これ以外にない選択だろう。問題はうまくリセットできるかになる。
 今夏開かれる予定だった東京五輪・パラリンピックが1年程度延期されることになった。国際オリンピック委員会(IOC)などが具体的な会期を今後、早急に固める方向だ。
 新型ウイルスの感染症は、世界保健機関(WHO)が今月11日にパンデミック(世界的大流行)を表明した。感染者や死者の拡大はピークすら見通せず、各国で出入国制限や外出規制が行われている。
 先週以降は、各国のオリンピック委員会や競技団体が通常開催への異論を相次いで表明していた。
 感染が終息しない中で開催を強行すれば、各国約1万1千人の選手団や多数の観客らを危険にさらし、世界的な感染をなお拡大するリスクもあっただろう。
 各地で五輪予選が相次いで中止になり、約1万1千人のうち43%を占める未確定の出場枠も宙に浮いたままだった。各国選手の健康と安全、移動や練習さえままならない窮状、公平性ある代表選考を考えても、延期はやむなしといえる。
 開催国の日本は今後、五輪・パラリンピックの延期という前例のない難題と向き合うことになる。
 まず配慮すべきは、一生に一度の地元五輪という晴れ舞台となる代表選手の選考だろう。
 各競技では今夏に向けて日本代表が続々と決まりつつあった。「1年程度の延期」を受けて各競技団体は現行の選考方式を維持するのか、見直すのかが課題になる。
 1年先にはピークを過ぎる選手も出てこようが、仮に選考のやり直しとなれば既に五輪切符を獲得した選手には酷な話になる。誰もが納得する形は難しいにしても、各競技団体は最善の手法を見つけてほしい。
 運営面では、大会時に約8千人になる大会組織委員会の職員確保が必要だ。国や自治体、企業からの出向者が多く、契約の見直しや再確保を迫られる。8万人のボランティアを再び確保できるかも不透明だ。
 競技場確保の面ではプロ野球、サッカーのJリーグが使う球場やスタジアムの調整は一からやり直しになる。首都圏の大規模施設も需要が高く、確保は容易ではない。
 政府や東京都も含めてこれらの追加経費の負担や、感染症の影響で既に大きな痛手を負う旅行、ホテル業界への対応など課題を挙げればきりがない。まさに膨大な作業に一つ一つ向き合うしかあるまい。
 むろん延期はしても五輪の開催は感染症の終息が大前提である。専門家には、ワクチンができるまで終息は難しいという見方もある。
 その開発を含めて、感染拡大抑止に向けては国際社会の連携も重要になろう。国内外の不安を解消して仕切り直しの五輪を迎えるため、政府や関係機関は全力を挙げなければなるまい。

カテゴリー: 社説

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