2020.03.25 08:00

【学校再開指針】早く日常取り戻せるよう

 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために続いている全国の小中高校の一斉休校を巡り、文部科学省は学校再開への指針を都道府県教育委員会などに通知した。
 再開の条件として指針は、「換気の悪い密閉空間」「多くの人の密集」「近距離での会話や発声」の三つを徹底的に避けるように求めた。
 授業だけでなく部活動や入学式、給食などでもそれらを避けるよう要請している。
 教育活動上、多くの子どもが集まる学校で近い距離での会話や発声を完全に禁止するのは不可能だろう。そのため、マスク着用や検温の徹底も指針は求めた。
 そうした対策の有効性はこれまでも繰り返し指摘されてきた。教職員や児童生徒、保護者らであらためて心掛け、日常の学校生活を早く取り戻したい。
 安倍晋三首相の異例の要請を受けて、全国のほとんどの学校が今月上旬から一斉休校に入った。春休み期間になったため、実質的な学校再開は4月以降となる。
 再開に当たって萩生田光一文科相は市町村など学校設置者の判断を優先するとしつつ、「自治体内の感染者がいるかいないかも含めて都道府県と相談してほしい」としている。
 政府の専門家会議も休校解除などの判断は厚生労働省と都道府県が相談して決める形を想定している。感染者の中には感染経路がよく分からない人もおり、ある程度広いエリアの情報把握は自治体が学校再開する上で重要だ。
 地域にどのくらいの感染者がいて、1人の感染者からどのくらい感染が広がったのか。何人の症状が改善しているのか―。科学的データに基づく、そうした地域の状況を国と都道府県は自治体に正確に示せるようにしてほしい。
 そうでなければ、自治体は学校再開時期を迷うだろうし、「自治体任せ」「丸投げ」といった批判が国民の中で強まるだろう。
 あってほしくはないが、再開後に児童生徒、教職員に感染が判明する場合も考えられる。
 指針は、感染者の症状や校内活動、地域の感染状況を総合的に考慮して感染者と濃厚接触者を出席停止にしたり、学級閉鎖や臨時休校にしたりする措置を要請している。
 感染者が出れば学校や自治体は慌てるだろう。厚労省や都道府県の担当者や外部の専門家らが素早く相談に乗る態勢にしてほしい。
 都市部と地方の学校では、通学や教職員の通勤の方法が異なるケースがある。乗客が大勢いる電車やバスを通学・通勤で利用した場合、学校再開後に感染リスクは高くならないだろうか。学校関係者や保護者は心配しているはずで、的確なアドバイスが必要だ。
 今は感染症の終息と着実な学校再開を祈るばかりだ。だが、感染拡大を防ぐために一斉休校にどんな効果があったのか。落ち着いた時期に専門家らによる検証は欠かせない。

カテゴリー: 社説

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