2020.03.23 08:36

〈新型コロナ 声…高知から〉生活困窮 母子世帯の悲鳴

客の帰った居酒屋で、小学生の次女と時間を過ごす鈴木由美子さん(高知市内)
客の帰った居酒屋で、小学生の次女と時間を過ごす鈴木由美子さん(高知市内)
「弱い所からつぶれる」
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、経済基盤の弱い高知県内の母子世帯が追い詰められてきた。小学校の一斉休校で子どもを遠くに預けたり、消費不況で商売が傾いて職探しを始めたり。母親たちは「この状況が続けば、私たちのように弱い所からどんどんつぶれていく」と悲鳴を上げている。

 高知県中部の公営住宅。会社員の佐藤麻美さん(35)=仮名=は、小学3年の長男(9)の笑い声が消えた部屋で毎夜、カップラーメンをすする。

 8年前に離婚し、長男と2人暮らし。3月上旬、長男の通う小学校が休校になり、山を隔てた別の町に住む母親(63)の元へ「疎開」させた。学童保育に預けることもできたが、集団感染が怖くて避けた。

 一斉休校後、国は休業する保護者のために特別な有給休暇制度を作るよう企業に求めている。しかし現実には「人の少ない職場では『休みたい』と言い出せない。同僚に迷惑を掛けるし、別の理由を付けてクビにされるかも…」(佐藤さん)。

 経済的な負担も増した。佐藤さんは母子世帯のため給食費を免除されていたが、休校で給食がなくなり、佐藤さんの母が長男の弁当を毎日作っている。

 工場で働く母の収入は月10万円に届かないことも。お金は受け取らない母に、冷凍食品などを手渡しているという佐藤さんの給料も月12万円ほど。週末に長男に会うためのガソリン代もかさむ。

 児童扶養手当などを足しても生活に余裕はない。夕食は1個100円以下のカップラーメンという毎日。「節約で削れるのは自分の分だけですから…」

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 高知市の自営業、鈴木由美子さん(46)=仮名=も経済的に困窮したシングルマザーの一人だ。

 2度の結婚と離婚を経験し、長女(28)と長男(25)は独立。今は小3の次女(9)と2人で暮らし、小さな居酒屋で生計を立てている。焼酎1杯300円、7人入れば満席の赤ちょうちん。

 「売り上げは月平均20万円ありましたが、コロナでお客さんが7割減りました。自分1人だけならなんとかなるけど、娘がいますから」

 売り上げが激減した3月中旬、鈴木さんは昼間の仕事を探すためハローワーク高知に行き、介護のパートを見つけた。しばらくはダブルワークになる。昼夜とも市内の実家に住む母に次女を預かってもらうという。

 夜、店の片付けを終える。甘えてくる次女を抱いて、鈴木さんは言う。

 「県内で感染者が出てから、予防とか自粛とか急展開に戸惑ってます。近くに身内がいる私は恵まれた方。独りで苦しむシングルマザーがたくさんいる。みんな自分のことは話さないから…」

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 同じひとり親でも、母子世帯は父子世帯より経済的に弱い。厚生労働省の2016年度調査によると、全国の父子世帯の平均年収420万円に対し、母子世帯は243万円だ。

 政府は一斉休校の延長要請はしない方針。4月から新学期が始まる。ただでさえ弱い経済基盤に打撃を受けた母子世帯の生活再建には息の長い目配りが必要になる。

 高知市の生活保護率が過去最高を更新したのは2008年のリーマンショックの後だった。新型ウイルスの感染終息が見通せない中、高知市の福祉関係者は「今回も経済的弱者にじわじわダメージが蓄積されていく」と懸念を募らせる。

 貧困問題に詳しい高知県立大学の田中きよむ教授は、2兆ドル(約220兆円)規模の経済対策を進める米国を引き合いに、「日本でも母子世帯らの支援のため、大胆な現金給付と消費税減税を打ち出すべきだ」と訴える。(芝野祐輔、深田恵衣)

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カテゴリー: 社会新型コロナウイルス主要社会


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