2020.03.23 08:00

小社会 異例の春

 柳田国男の「遠野物語」にこんな話がある。1896(明治29)年の三陸地震の津波で妻子を亡くした岩手県田の浜(現山田町)の男が、生き残った子ども2人と小屋を建てて暮らしていた。

 1年ほど後の夏の月夜に、亡き妻が結婚前に心を交わしていた男と現れ「今はこの人と夫婦になっている」と言う。「子どもがかわいくはないのか」と尋ねると、女は顔の色を変えたがやがて姿は見えなくなった。

 物悲しい話が伝承されていたのはなぜだろう。災害で失った人を慕う気持ちの強さもあったろう。死者も別の世界で幸せに暮らしている--。そう信じることで区切りをつけて、生活の再建に向かおうとしたのだろうか。

 東日本大震災の被災地でも同じように、死者との再会といった切実な体験が語り伝えられているという。大切な亡き人を身近に感じることは生きている私たちにとって思いの外、心のよりどころになっているのかもしれない。

 この春はお彼岸の法要も新型コロナウイルスの影響を受けていると、きのうの高知新聞の記事にあった。参加者に高齢者が多いため、各地で中止されたり縮小されたり。異例の春にため息が漏れる。

 高知市の日曜市はきのう3週間ぶりに再開された。歩いていると、「(再開できて)ほっとした」「うれしい」。店主と客との、そんなやりとりも聞こえてきた。感染防止と日々の営みの折り合いをどうつけるか。模索は続く。


3月23日のこよみ。
旧暦の2月29日に当たります。きのと うし 五黄 赤口。
日の出は6時06分、日の入りは18時20分。
月の出は5時47分、月の入りは17時16分、月齢は28.5です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時59分、潮位160センチと、17時44分、潮位161センチです。
干潮は11時49分、潮位44センチです。

3月24日のこよみ。
旧暦の3月1日に当たります。ひのえ とら 六白 先負。
日の出は6時04分、日の入りは18時21分。
月の出は6時15分、月の入りは18時10分、月齢は29.5です。
潮は大潮で、干潮は高知港標準で0時04分、潮位16センチと、12時15分、潮位35センチです。
満潮は6時21分、潮位163センチと、18時16分、潮位166センチです。

カテゴリー: 小社会コラム

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