2020.03.22 08:00

【新型コロナ対策】「爆発的急増」防ぐために

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策を検討する政府の専門家会議が新たな見解を示した。
 国内は持ちこたえているとしながらも、欧州のように患者が爆発的に急増する「オーバーシュート」が起きかねない懸念も示した。
 このため集団感染を起こす恐れのある大規模イベントは、引き続き開催に慎重な対応を求めた。一方で、地域の感染状況に応じて対策を考えるよう促している。
 感染が拡大傾向にある地域は、独自の警告や自粛を検討する必要がある。その場合、一斉休校も選択肢になるとする。感染が確認されていない地域では学校活動や屋外スポーツ、文化施設の利用などリスクの低い活動から実施してよいとした。
 実際、どこで感染したか分からない人が増えている都市部を中心に感染者数が3桁の自治体があれば、ゼロや1桁の自治体もある。社会や経済への影響を最小限にしながら、最大限の効果を上げるためには妥当な判断だろう。
 そうなると地域の実情をどのように判断するかが重要となってくる。とりわけ自治体が終息傾向を見極めて、休校やイベント自粛の要請などを解除する判断は難しい。
 専門家会議は厚生労働省と都道府県が相談して決める形を想定している。その際にはできる限り、地域の住民が納得しやすい根拠が求められよう。感染者数や感染者集団(クラスター)の状況、1人の感染者から何人程度に感染が広がっているかといった科学的データに基づく指針があれば分かりやすい。
 新見解を受けて、政府は全国の小中高などの一斉休校を延長しないことを決めた。安倍晋三首相は4月の新学期からの再開に向け、留意事項をまとめた指針を策定するよう文部科学省に指示した。
 指針に基づき各自治体は再開できるかどうかを判断する。それだけに曖昧な言葉で自治体が判断に迷わないよう、科学的知見を踏まえた基準であることが望ましい。そうでなければ「自治体任せ」「丸投げ」の批判が強まろう。
 住民が混乱しないためには、自治体同士の協力と情報の共有も欠かせない。
 突如明らかにされたこの3連休の大阪―兵庫間の往来自粛要請。大阪府は兵庫県へ事前の根回しをしなかった。兵庫県知事は不快感をあらわにし、双方の住民から戸惑いの声が相次いだ。隣接する府県で感染が拡大している時だからこそ、意思疎通と連携を密にしてもらいたい。
 専門家会議の推計によれば、人口10万人規模の町で1人の感染者から2・5人程度に感染が広がると、流行50日目で1日の感染者が5千人を超える。最終的に人口の8割が感染して医療が崩壊する―。
 この最悪のシナリオは何としても回避しなければならない。人混みや換気の悪い密閉空間を避けるなど、一人一人が適切な行動を取るよう改めて心掛けたい。

カテゴリー: 社説

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