2020.03.19 08:00

【東京五輪】あらゆる選択肢の検討を

 予定通りの開催か、それとも延期や中止があり得るのか。4カ月後に開幕が迫った東京五輪が、新型コロナウイルスの感染拡大で岐路に立たされている。
 計画通りにできればそれに越したことはない。しかし感染がパンデミック(世界的大流行)となる中、状況は予断を許さない。政府や国際オリンピック委員会(IOC)には、あらゆる選択肢を含めたオープンな議論を求めたい。
 決定権を持つIOCは17日、各国際競技連盟との合同会議で予定通り7月24日から開催する方針を確認した。とはいえ日を追うごとにハードルは上がっている。
 約1万1千人の五輪出場枠のうち現時点で43%が確定していない。ところが五輪予選の各種大会は中止や延期を余儀なくされている。
 IOCは今後、予選期間の延長や出場枠を争うポイント対象大会の変更、出場枠の増枠を検討する。世界ランキングや過去の大会結果などを適用して、柔軟に配分する方針も確認した。
 競技選手らが納得のいく選考が行われるのは大前提である。だが感染が広がっている国では施設が閉鎖され、思うように移動や練習ができない選手も出ている。IOC内部や一部の選手からは「公平な条件の下、五輪まで到達できない」「(予定通りの開催は)無神経で無責任な行為」といった批判も出始めた。
 IOCが「アスリートファースト(選手第一)」を徹底するのであれば、真摯(しんし)に耳を傾けなければいけない声であろう。
 日本でも共同通信の世論調査で、東京五輪は「開催できないと思う」が約7割に上った。男女を問わず幅広い年代で悲観論が広がっているのは、世界中から人が集まる五輪を通して感染が広がる恐れなどを考慮してのことだろう。
 むろん延期や中止は簡単に決められるものではない。
 トランプ米大統領は「1年延期すべきだ」とも発言したが、2021年夏には陸上、水泳の世界選手権がある。22年は北京冬季五輪やサッカーW杯カタール大会も控える。会場確保や日程の再調整なども困難を極めよう。財政面の負担も増す。
 1~2年延期すればピークを過ぎる選手も出てこよう。何よりも大事な選手の選考はどうするのか。課題を挙げればきりがない。中止となれば影響はさらに深刻だ。
 安倍晋三首相は無観客や規模の縮小などはしない「完全な形での開催」を強調している。それを目指して選手や関係者が準備を続けることは大切だろう。一方で根拠もないまま「完全な形」に執着し、様子見を続けるだけでは、選手や国民の不安は消えないのではないか。
 7月開催が困難になった場合、「次善の策」はどうするのか。開催か否かの判断はいつごろ示すのか。政府はIOCなどと連携した上で、国会での議論などを通して説明してもらいたい。

カテゴリー: 社説

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