2020.03.15 08:00

【関電の金品受領】原発がもたらすゆがみだ

 関西電力の役員らが、原発がある福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題で、関電の第三者委員会がきのう、調査報告書を公表した。
 それによると、元助役と関電の不適切な関係は1980年代から続いてきた。役員らは元助役から高額な金品を受け取り、元助役の求めに応じて原発関連の工事を特定の企業に発注するなどしていた。
 歴代役員らは関係を断ち切れなかったばかりか、2018年の社内調査結果さえも非公表にしたと指摘。それらを厳しく批判した上で、根本的な原因には関電の「内向きの企業体質がある」と断じた。
 第三者委は、役員らが元助役に便宜供与を図ったと認定したことになる。社内調査の非公表も実質的に隠蔽(いんぺい)行為といってよい。元助役が故人であり、確実な証拠がないとして刑事告訴は見送るが、役員らの行動は許されるものではあるまい。
 関電は社長が引責辞任し、企業統治の強化などで信頼を取り戻したい意向だ。しかし、それは決して容易ではない。
 金品受領は18年、国税当局の税務調査をきっかけに関電が社内調査を実施。昨年9月の報道で明るみに出た。関電は社内調査を基に、役員ら20人が総額約3億2千万円相当を受領していたと公表していた。
 これに対し、弁護士で構成する第三者委は昨年10月に設置され、800人を超える関係者への聞き取りや書面調査、電子メールの復元、資料の分析などを続けていた。
 その結果、金品を受け取っていたのは75人で、約3億6千万円相当だったことが分かった。受領者は4倍近くに膨らんでおり、社内調査のずさんさは否定できない。
 しかも社内調査は原子力事業本部を中心に行われ、社長らの判断で公表はおろか、取締役会にも報告されなかったというからあきれる。
 元助役は地元で原発の維持、推進を支えてきた人物だったという。第三者委報告書によると、関電関係者は金品受領に問題があると認識しながらも、元助役によるどう喝や、不適切な関係の暴露も恐れ、関係が続いてきたようだ。
 原発の立地には長い時間と巨費が必要になる。利権も絡みやすい。両者の異常な関係は、そんな原発の特殊性がもたらしたゆがんだ関係であったことは確かだろう。その意味では背景を「内向きの企業体質」で片付けることはできまい。
 一連の問題は、関電にとどまらず原発事業そのものの不信を増大させた。東京電力福島第1原発事故で崩壊した安全神話とともに、原発の信頼は失墜したといってよい。
 原発はそうまでして維持しなければならないのか。国民の間に疑問が生じて当然だ。原子力を国策にしてきた政府の責任も重い。
 原発政策を巡る疑問や矛盾は尽きない。業界も政府も言い訳や先送りはやめ、国民が納得できる説明や行動をする必要がある。

カテゴリー: 社説

ページトップへ