2020.03.11 08:00

小社会 ひこばえ

 「ひこばえ」とは何か。恥ずかしながらよく知らなかった。木の切り株から出た若芽のこと。ただし寿命が尽きようとする老木が、子孫を残そうとしているのではないらしい。

 樹木は中心部から樹皮に向かって育つ。成長点は樹皮の下にあり、そこで新しい細胞が作られる。ひこばえも同じDNAを持った細胞が増殖してできる。違う性との間にできた子どもではなく、樹木自身の成長の「最前線」だ。

 評論家の立花隆さんが以前、植物学者への取材を踏まえて月刊誌に書いていた。未来を子孫に託すのではない。水と栄養と太陽の光があれば何百年、何千年と生きることができる。樹木の不思議に改めて気づかされる。

 東日本大震災からきょうで9年。「復興五輪」が近づくが、被災地はまだまだ復興などできていない。なお5万人近くが避難している。転居先で近所付き合いが減り、新しい生活になじめない人。自宅が損壊しながら十分な支援を得られず、壊れたままの家で暮らす人…。

 復興を自ら享受できず、未来の子孫に託すしかない。そんな支援の網の目からこぼれた被災者はいないか。この先ずっと生活を維持していくための、きめ細かな支えが要る。

 辞書によると、復興とは「一度衰えたり壊れたりしたものが、もう一度盛んになること」。一本一本の樹木にひこばえが芽生えるように、被災者一人一人が希望を見いだせなければそれはかなわない。


3月11日のこよみ。
旧暦の2月17日に当たります。みずのと うし 二黒 赤口。
日の出は6時22分、日の入りは18時11分。
月の出は20時00分、月の入りは7時28分、月齢は16.5です。
潮は大潮で、干潮は高知港標準で0時58分、潮位-13センチと、13時14分、潮位18センチです。
満潮は7時15分、潮位180センチと、19時21分、潮位185センチです。

3月12日のこよみ。
旧暦の2月18日に当たります。きのえ とら 三碧 先勝。
日の出は6時20分、日の入りは18時11分。
月の出は21時11分、月の入りは8時05分、月齢は17.5です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で1時36分、潮位1センチと、13時54分、潮位12センチです。
満潮は7時46分、潮位178センチと、20時07分、潮位176センチです。

カテゴリー: 小社会コラム

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