2020.03.10 08:00

小社会 流儀

 先ごろ病気療養が伝えられた作家、伊集院静さんは怖い人だと周囲に聞いていた。話を聞く機会に恵まれたのは3年前。いらない緊張をした。「これは本を売るための取材だからね」と冗談っぽく笑い、熱く語ってくれる人だった。

 本とは、高知新聞に掲載の新聞小説「東京クルージング」。結婚を誓った恋人が突然消えた。青年は心に傷を負ったまま、病没する。彼女はなぜ、どこへ消えたのか―。重い作品に込めた思いを「人は誰しもつらい、苦しい経験をせざるを得ない。それがいつか、の差で」。

 自身も20代で実弟を海難事故で、30代で前妻の夏目雅子さんを病で失っている。随筆集の「大人の流儀」には、「なぜ彼、彼女がこんな目に」と激しく動揺し、「なぜ自分だけが」という感情にも陥ったと書く。

 今でも、夏目さんを取り上げた芝居やテレビからは目を背けるという。大切な人との別れは簡単なものではないが、「誰しもがつらい時間と遭遇しているのが人生だ。幸せだけの人生などない。それでも懸命に生きていけば、必ず光がさす」。それが多くの悲しみと向き合ってきた伊集院さんの流儀なのだろう。

 仙台に自宅がある伊集院さんは東日本大震災も経験している。今年も被災地からはあの日を思う記事が届く。私たちにできることの一つは、避けられる悲しみは避ける備えに努めることだ。

 震災からあすで9年。「命」を考えたい時季が巡ってきた。


3月10日のこよみ。
旧暦の2月16日に当たります。みずのえ ね 一白 大安。
日の出は6時23分、日の入りは18時10分。
月の出は18時49分、月の入りは6時51分、月齢は15.5です。
潮は大潮で、干潮は高知港標準で0時19分、潮位-20センチと、12時35分、潮位29センチです。
満潮は6時43分、潮位179センチと、18時35分、潮位186センチです。

3月11日のこよみ。
旧暦の2月17日に当たります。みずのと うし 二黒 赤口。
日の出は6時22分、日の入りは18時11分。
月の出は20時00分、月の入りは7時28分、月齢は16.5です。
潮は大潮で、干潮は高知港標準で0時58分、潮位-13センチと、13時14分、潮位18センチです。
満潮は7時15分、潮位180センチと、19時21分、潮位185センチです。

カテゴリー: 小社会コラム

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