2020.03.04 08:36

点検・高知市2020年度予算案(下)子育て支援を切れ目なく

西部子育て世代包括支援センターで母親の相談に乗る保健師(高知市鴨部)
西部子育て世代包括支援センターで母親の相談に乗る保健師(高知市鴨部)
避難所整備にも力
 2月下旬。高知市鴨部にある「西部子育て世代包括支援センター」で、高知市の保健師、浜口真理さん(39)が2歳児の母親に向き合っていた。
 
 「初めての育児。分からないことばっかりで…」。心配そうな母親に「大丈夫、大丈夫。みんなそうですから」と優しく語り掛ける浜口さん。これまでに千人以上の子育て相談に応じ、継続的にフォローしてきた。
 
 西部子育て世代包括支援センターは2019年11月に開設。浜口さんら保健師が常駐し、母子健康手帳の交付や子育て相談に当たっている。2015年に総合あんしんセンター(丸ノ内1丁目)内に設置したのに続き、市内2カ所目となる子育て支援の拠点だ。
 
 高知市ではこれまで、保健師のいない地域の窓口センターでも母子健康手帳を交付していたため、交付時に妊婦の健康状態や家族のサポートの有無などを細かく聞き取る面談の実施率は47・2%にとどまっていた。
 
 2020年度当初予算案では600万円を計上し、東部健康福祉センター(葛島4丁目)に3カ所目を開設。母子健康手帳交付を3カ所の子育て世代包括支援センターに集約して面談率100%を目指す。2021年度には市北部にも4カ所目を開設し、各地域で妊娠初期から一人一人に必要な支援を行う態勢を整える予定だ。
 
 当初予算案では、産後うつの早期発見などを目的に、産婦に行う健診費用の補助に1千万円を計上。1歳児から中学3年までを対象にしたインフルエンザ予防接種の助成費用も盛り込むなど、子育て世代のサポートを強化しており「妊娠期から出産後まで切れ目のない支援」(高知市こども未来部)を目指す。
 
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 2月27日、当初予算案を発表した岡﨑誠也市長は、避難所の環境整備の遅れに「大きな危機感を持っている」と強調した。
 
 高知市は2017年度から、南海トラフ地震対策を予算編成の柱に据えてきた。津波避難タワーの整備や学校の耐震化、防災拠点となる新庁舎も完成し、「ハード事業は峠を越した」(高知市財務部)。このため岡﨑市長は、昨秋の市長選での訴えに沿って、ソフト事業に力点を移す考えだ。
 
 例えば、2016年に起きた熊本地震では、長引く避難生活でトイレの衛生状態が悪化。水分を控えた人に血栓ができ、死に至るなど災害関連死が問題になった。
 
 そこで高知市は、マンホール上に便器を置いてテントなどで覆う「マンホールトイレ」を広げる方針を立てた。仮設トイレと比べて容量が大きいのが特徴で、2025年度までに小学校など39カ所の避難所に整備する方針だ。
 
 2020年度予算案にはマンホールトイレの設計費1900万円を盛り込み、プライバシーが確保された水洗トイレ4基を載せた移動式の「トイレトレーラー」の購入費1910万円も計上した。
 
 岡﨑市長はこうした細かい施策を積み重ねて「災害関連死ゼロを目指す」としている。
 
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 財政悪化で政策の裁量が限られる中、どの分野に力を入れ、予算を振り分けるか。史上最多の5期目を迎えた岡﨑市長は、難しいかじ取りが迫られている。2020年度予算案を審議する3月定例会は5日、開会する。(報道部・浜崎達朗)

カテゴリー: 子育て政治・経済高知中央

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