2020.03.04 08:37

新型コロナウイルスが高知県内経済に打撃 キャンセル相次ぐ

出店のない空き区画が目立ち、買い物客も少なかった日曜市(1日午前、高知市追手筋1丁目)
出店のない空き区画が目立ち、買い物客も少なかった日曜市(1日午前、高知市追手筋1丁目)
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた自粛の動きに、高知県内でも幅広い業界が大きな打撃を受けている。キャンセル急増、受注激減の悲鳴、不安があちこちで上がり、中小事業者からは「長期化すれば立ちゆかなくなる」と切実な声が相次ぐ。

▶新型肺炎 高知県内新たに4人感染、計7人に(3/4 18:08)
 
 3月1日午前、高知市が出店の自粛を呼び掛けた日曜市は空き区画が目立ち、行き交う買い物客も少なめだった。8、15日は中止が決定。「季節の野菜は保管できんから大きな痛手。仕方ないけど…」。男性出店者(66)が、ため息をついた。
 
■観光・宿泊
 自粛の動きが直撃しているのは旅館やホテル。三翠園(高知市)は、2月末時点で約1600人の宿泊予約がキャンセルとなり、「団体旅行も多く、書き入れ時の3月の予約がなくなったのは痛い」。卒業祝いや謝恩会など宴会も約4500人分が解約された。
 
 新ロイヤルホテル四万十(四万十市)も、台湾や香港からのツアー、学生の野球合宿や修学旅行が中止になった影響などで約千人のキャンセルが発生。ロイヤルホテル土佐(安芸郡芸西村)は、3月13~15日に予定されていた女子プロゴルフツアーの中止が響き、「大会関係者の宿泊は延べ数百人規模。自粛は仕方がないが、少し割り切れない」と嘆く。
 
 高知県旅館ホテル生活衛生同業組合は、主要63施設を対象に1~6月の宿泊客数の見込みを調査中。事務局は「多くは、例年の2割から3割ほど減るのでは」とみている。
 
 旅行会社も頭を抱える。高知県旅行業協会が加盟44業者向けに行った調査では、個人・団体の国内旅行で約750件、6千人近くの解約(2月末時点)が出ているという。
 
 高知市のある会社では、2月上旬は1日数件だったキャンセルが25日以降は20~30件に急増。「県外出張や家族旅行の取りやめが多い。団体では修学旅行の延期もある」と説明する。
 
 観光施設も苦しんでおり、高知城管理事務所によると、県内で感染者が確認された2月29日以降、来場者は徐々に減り、1日数件入っていた団体客の予約も「今は全キャンセルの状態」と明かす。
 
 人気のむろと廃校水族館(室戸市)も、2月29日と3月1日の週末は「来館者が普段の土日の3分の1程度。影響が出始めたと実感した」。香美市のやなせたかし記念館(アンパンマンミュージアム)のように臨時休業する施設もある。
 
 バス業界でも予約キャンセルが相次ぐ。とさでん交通では、貸し切りバスのキャンセルが2~3月で296台に上り、クルーズ船の寄港が4~10月で12隻中止になった影響で約350台の予約も解消された。高速バスもキャンセルが頻発。ともに収益の柱だけに「人が全く動かない状況で大打撃だ」と訴える。
 
■飲食・イベント
 歓送迎会シーズンを前に、夜の街からも恨み節が絶えない。
 
 高知市で複数の居酒屋を経営する男性経営者(46)は「数十人規模の予約は軒並みキャンセル。3月は忘年会に次ぐ稼ぎ時なので、1年間の売り上げにも大きく響く」。
 
 他の店主も「前年の半分くらいに落ち込むと思う。台風と違って先が見通せないのが怖い」。高知市内のスナックの女性経営者は「返杯で女の子は稼ぎゆうのに」「お客さんはがんがん減って、もう店が傾いている」と肩を落とす。
 
 イベントの舞台運営を手掛ける四国舞台テレビ照明(高知市)は、3月中旬まで毎日入っていた仕事がゼロになった。「この状態が長期化すれば、会社がつぶれる」と危機感を募らせる。
 
 ウエディング業界にも波及し、高知市の婚礼プロデュース会社は書き入れ時の3~5月の予約が半分キャンセルに。「生花店、貸衣装店、美容師など幅広い業種が影響を受けている」と心配する。
 
 人が集まる場所を避ける傾向から、高知市のイオンモール高知では、週末の夕方でもフードコートに空席が目立つようになった。映画館「TOHOシネマズ高知」も「毎月1日は映画が安い日だが、3月は普段の半分くらい」だという。(報道部取材班)

関連記事

もっと見る

ページトップへ