2020.02.18 08:00

【新型肺炎と経済】臨機応変の対策が必要だ

 肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大の終息が見通せず、国内経済にもたらす悪影響への不安が広がっている。
 共同通信が15、16両日に行った世論調査でも、中国発の新型肺炎による影響を懸念しているとの回答が82・5%に上った。
 政府や自治体は感染拡大の防止強化とともに、経済への打撃を最小限に抑えるために臨機応変の対策を講じる必要がある。
 感染症による景気への悪影響としては、2002~03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時が引き合いに出される。
 ただ中国の国内総生産(GDP)の世界シェアは当時、4%程度だったが、今や約16%を占める世界2位の経済大国になっている。
 19年の中国人訪日客は当時の20倍以上に当たる959万4千人で、日本の対中輸出額は約3倍の14兆6千億円。対中依存度は格段に高まっている。中国の経済活動の停滞が長引いた場合の影響は、SARS流行時の比にならない恐れもある。
 インバウンド需要の面では、全国の観光地や小売業界が既に直撃を受けている。
 中国政府が海外への団体旅行を禁止したあおりで訪日観光客が激減。昨年上半期だけで8950億円に上った訪日中国人の日本での消費額は国・地域別では群を抜いて大きく、宿泊業や春節期間中の百貨店の免税売上高に影響を及ぼした。
 政府は宿泊業など中小企業の資金繰りを支援するため、緊急融資や保証枠として5千億円の確保を決めている。
 しかし、感染の封じ込めが長期化し、日本人にも外出や旅行の自粛ムードが広がれば、観光関連企業の倒産増加など地域経済へのダメージはさらに深刻になろう。
 政府は今後も実態を把握し、機動的で目配りを怠らない対応を徹底してもらいたい。
 日中は生産の各段階でモノが行き来するサプライチェーン(部品の調達・供給網)を築いている。その寸断も表面化している。
 例えば自動車メーカーのトヨタやマツダはきのう中国国内の工場で生産を一部再開したが、稼働率は抑えざるを得ないままだ。武漢にあるホンダの工場や湖北省内の日産の工場などは再開を延期している。
 事態の収束に時間を要し、生産停滞が長引いた場合、国内の製造業全般に与える影響も慎重に見極めなければなるまい。
 内閣府がきのう発表した19年10~12月期のGDP速報値は年率換算で6・3%減と、大幅なマイナス成長に陥った。
 ただでさえ消費税増税や自然災害の頻発で景気が減速している上、20年1~3月期は新型肺炎の影響が成長率を押し下げる見通しだ。
 日本経済は「危険水域」に入り込みつつあるという分析もある。政府は強い危機感を持った対応が求められる。  

カテゴリー: 社説


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