2020.02.15 08:00

【新型肺炎】市中感染も想定し備えを

 新型コロナウイルスの国内での感染拡大が、新たな段階に進んだ恐れが出てきた。
 神奈川県の80代日本人女性が肺炎を発症して亡くなり、ウイルスに感染していたことが分かった。国内で死者が出るのは初めてだ。
 感染経路は判明しておらず、最近の海外渡航歴はないという。親類の東京都内の70代男性タクシー運転手も感染している。
 これとは別に、和歌山県の50代男性医師やこの医師が勤める病院を外来受診した70代男性の感染も判明。北海道や沖縄県などでも新たな感染が明らかになった。
 懸念されるのは既に国内にウイルスが入り込んでいる事態だ。日本感染症学会などは「街の中で散発的な流行が起きていてもおかしくない」との見解を示している。
 地方で発症が相次ぎ、感染経路がはっきりしない事例がある以上、政府は市中での感染も想定して備えを強化すべきだ。自治体や医療機関などとも連携し、緊張感ある対応を求める。
 国内でこれまで確認されてきた感染例は横浜港のクルーズ船を除き、中国からの帰国者や旅行者、旅行者からの2次感染者などとみられてきた。市中感染になると、不特定多数に広がりやすく、封じ込めが一気に難しくなる。
 政府はきのう、第1弾の緊急対策のため、2019年度予算の予備費から103億円を支出する閣議決定をした。メーカーがマスクの供給能力を拡大するための補助金創設やワクチン開発の促進などに充てる。
 流行を阻止するには、現在は半日以上かかる場合があるウイルス検査を迅速化することやワクチンの実現が不可欠だ。国際的な連携も強化し早期に実現したい。
 自治体の備えも重要になる。
 政府は都道府県や保健所を設置している市などに、住民らの相談を受け付けるセンターの設置や医療体制の強化などを求めている。
 高知県と高知市は既に今月4日に相談センター(088・823・9300)を設置済みだ。センターに相談した上で受診する専門の外来も設けた。感染の疑いがあれば、患者から採取した検体を県衛生環境研究所で検査するという。
 感染と判定されれば患者は指定医療機関に入院しなければならない。県内ではまず、高知医療センターと幡多けんみん病院の2機関計9床で受け入れる予定だ。
 いまのところ県内では感染者が出ていないが、県などには状況に応じて、窓口や検査、受け入れ病床を強化することも求められる。
 国民の不安は増している。政府や自治体には感染者の人権に配慮しながら、判明した情報を正しく速やかに公表する必要がある。
 私たち国民は引き続き、冷静に日常の生活を送りたい。咳(せき)エチケットや手洗いの励行、不要不急の人混みへの外出を避けるといった基本に努めていこう。

カテゴリー: 社説

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