2020.02.14 08:42

携帯電話持ち込み 校内厳禁は少数 高知県の全中高学校を調査

防犯や家との連絡に保護者要望  授業に活用の動きも
 「娘の通う学校の保護者会で、通学時の携帯電話の所持を認めてほしいと声が上がりました。ほかの学校の状況は?」―。高知新聞に読者からそんな手紙が届いた。文面には災害時の連絡手段を確保するために必要だとの訴えが切々とあった。そこで高知県内の国公立、私立全ての中高校に実態を聞いてみた。高校のほとんどは「校内で使用不可とした上で所持OK」。中学校の大半は「原則禁止ながら理由があれば認める」。絶対禁止は少数派で、保護者の要望を受け“規制緩和”する学校もある。

 45高校と義務教育学校を含む中学校115校に電話で聞き取り、「禁止」「原則禁止(やむを得ない理由があれば許可する)」「放課後など使用可」などに分類した。

 この結果、校内持ち込みを禁止している高校は3校だけだった。最も多かったのが「学校敷地内では使用しない(電源を切る)」で26校。「放課後などは校内での使用を認めている」という学校が13校、規制は設けず「生徒の自主性に任せている」も3校あった。

 中学校は「禁止」(29校)と「原則禁止」(83校)がほとんど。そのほかは「電波が入らないので要望もない」などの理由で、特にルールを設けていない学校が3校。

 原則禁止の学校は「保護者が申請書を出して許可が得られた生徒は認める」「何か事情がある場合は教員に許可を得た上で職員室に預ける」など、条件付きで一部許可している。

 「申請者はいない」「いても数人」という学校もあれば、全校生徒の3分の2ほどという学校もある。高知市内校など生徒数の多い学校は持ち込み比率が比較的高く、郡部は低い傾向にあった。

 許可条件は「部活動や塾で帰宅が遅くなるため、防犯上」「送り迎えの連絡に」などが多く、校内では始業から終業まで教員に預けるのが通例のようだ。

 持ち込みを禁止している学校の理由としては「保護者との連絡は公衆電話で」「学習など学校活動に影響が出る」などが目立った。

 携帯電話の校内持ち込みに関して文部科学省は2009年、小中学校は「原則禁止」、高校は禁止の措置も含めて「使用を制限すべき」との通知を出した。ただ、2018年の大阪北部地震で保護者から「子どもと連絡が取れずに困った」との声が多く出たことを受け、方針を見直す方向で検討している。

放課後の教室でスマホを操作する高校生 (四万十町の窪川高校)
放課後の教室でスマホを操作する高校生 (四万十町の窪川高校)
県内許可校「保護者も安心」
 「防犯」「家との連絡」―。高知県内の中高校を対象にした携帯電話に関する聞き取りで、校内所持を認める理由として多かったのがこの2点だった。「公衆電話が少なくなった」「登下校の危険が増している」など環境の変化を理由とする声も目立つ。一方でスマートフォンを学習に活用する動きもあるなど、時代に合わせた対応がみられる。

 「スクールバスを降りてから迎えの段取りに必要な生徒もいる」と話すのは長岡郡大豊町の大豊町中学校。全校生徒の半数ほどが許可を得て学校に持ってきているという。

 送り迎えや塾の時間変更などで「保護者と急な連絡を取る必要がある生徒」に許可している中学校は50校以上。携帯電話が普及する前からある事情だが、複数の学校が「公衆電話が少なくなってきた」ことを挙げる。

 高知市内の中学校の教員は「今は親も子も携帯でやりとりするのが当たり前。子どもが持ってないことは保護者にとって不便なのでは」と語る。

 「防犯上から持たせたい」という保護者の意向も強いという。

 2割ほどに許可している高知市の西部中学校は「子どもが巻き込まれる事件が昔より多く、『絶対に大丈夫』とは言いがたいので認めている。保護者としても携帯を持たせておいた方が安心」と説明する。

 複数の学校から「自転車で遠くから通っている女子生徒もいるので帰りが遅くなると危ない」「帰りが心配な親御さんもいるので」などの声が聞かれた。県立安芸中学校は2015年度まで禁止していたが、生徒と保護者の要望を受け、申請があれば持ち込みを許可するように変更した。

 学校への携帯電話の持ち込みを許可してほしいと高知新聞に手紙を送ってくれた差出人は、災害対策として必要だと訴える。「毎年のように災害レベルの大雨が降ります。南海トラフ地震の津波は6時間繰り返されるそうです。帰宅時間に発生すれば深夜まで」

 同様の考えを持つ学校は複数あり、「子どもの安全管理のために携帯を持たせることに抵抗はない」との声もあった。

 全面禁止にしている学校は「学校のすぐ近くに住んでいるか、スクールバスで通学しているので必要ない」「防災を考える以前の問題で、あまりにもネットマナーが身に付いていない」などの理由を挙げた。

 一方で、学校への携帯持ち込みをマイナスに捉えていない学校も出てきている。

 高知市の高知中央高校は携帯電話の活用を推進。クラスのPR動画作りなど授業にも活用しており、「実社会で役立つスキルを身に付けることにつながる」。高岡郡四万十町の窪川高も調べ学習で活用しており、「小規模校で新しい図書をどんどん入れられないので、スマホを使う授業もある」。

 高知市の太平洋学園高校は、学習障害で板書を書き写すのが苦手な生徒に携帯カメラでの撮影を許可している。

 学校と携帯―。新しい悩みや関係、歴史が生まれつつある。  (今川彩香、深田恵衣、石丸静香)

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カテゴリー: 主要教育子育て社会


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