2020.02.11 08:50

高吾北、中芸の2消防本部 初の女性消防職員が誕生

 高吾北、中芸の2消防本部に2019年度、初めて女性職員が誕生した。県消防学校での厳しい訓練を終え、消火や救急の業務に就いている。県内消防の女性職員は現在、高知市に9人、南国、香南両市に1人ずつおり、合わせて13人となった。(森田千尋、北原省吾)

「信頼される消防士になりたい」と話す西森愛さん(越知町の高吾北消防本部)
「信頼される消防士になりたい」と話す西森愛さん(越知町の高吾北消防本部)
高吾北・西森愛さん(19)「信頼される消防士に」
高吾北消防本部(高岡郡越知町越知甲)で働くのは、西森愛さん(19)=越知町出身。

 小学生の頃、祖父母の家が火事に遭った。その際、防火服を身にまとった消防隊員の活躍に「かっこいい」と憧れた。中学、高校での職場体験も迷わず消防署へ。署員らの奮闘を間近で見て、「自分も人を助けたい」との思いを強めた。

 「地元に恩返ししたい」と臨んだ2018年度採用試験は、残念ながら不採用に。それでもくじけず公務員学校に通って力を養い、翌年の試験で夢をつかんだ。

 ただ、男性と比べると「体力や筋力のなさが目立つ」と実感。少しでも差を埋めようと、業務後もランニングや筋力トレーニングに励む。先輩たちも付き合い、応援してくれているという。管内の地理を頭にたたき込むため、休日は地図を片手に車やジョギングで地域を回っている。

 現在は主に救急業務を担当。男性が苦手な女性患者を搬送した時、「(いてくれて)ありがとう」と手を握られた。「女性が入ったがやね、頑張って」と励ましてくれた人も。西森さんは「男性にできないこともあると気付いた」「職場の人や住民から信頼される消防士になりたい」と笑顔で話す。

 職員49人中の紅一点。岡林大助消防長は「受け入れるのは初めてで不安もあったが、(働きぶりを見た)今は心配してないし、十分やっていけると思う。立派な消防士になってもらいたい」と見守っている。

消防車の備品を点検する足達優友さん(田野町の中芸消防本部)
消防車の備品を点検する足達優友さん(田野町の中芸消防本部)
中芸・足達優友さん(22)「目の前の人助けたい」
 中芸消防本部(安芸郡田野町)に採用されたのは、足達優友(ゆう)さん(22)=東洋町出身。

 足達さんは高知高専卒業後、大阪・茨木市の会社に就職した。2018年6月の出勤間際、最大震度6弱を観測した大阪北部地震に遭遇した。「最初、南海トラフ地震かと思って…。まず頭に浮かんだのは高知の家族。すぐに電話しました」。地震を機に「高知で人の命を助ける仕事をしたい」と思った。 

 中芸消防の試験をパスし、県消防学校を終えた昨年12月から勤務。1月半ばには、2交代制の24時間勤務に入った。

 消防、救急、救助と、郡部の消防職員は1人で何役もこなす。ハードな勤務の上、ほかの職員37人は全員男性。「体力面の差は苦労するところもある。でも皆さん、気さくに話し掛けてくれます」。15年完成の庁舎は、女性用のトイレや仮眠室も備える。

 「まだまだできる事は少ないけど、一つずつ仕事を覚えていきたい」。目標は救急救命士。心肺停止状態の人への薬剤投与など、現場や救急車内でできる処置が増える。「出動現場で、目の前にいる方たちの役に立ちたい。一人でも多く」と力を込めた。

 鎌野哲也消防長は、「目標がしっかりあって勉強熱心。現場の女性住民らへの細かいケアも期待できる」。常石博高・中芸広域連合長(田野町長)は、「女性職員が複数人になれば、力がより発揮しやすくなると思う。今後も採用を続けたい」と話している。

カテゴリー: 主要社会

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