2020.01.31 08:43

上林暁の直筆原稿発見 初確認2作品含む10枚 黒潮町の文学館で展示

上林暁
上林暁
 幡多郡黒潮町出身の私小説作家、上林暁(1902~80年)の新たな直筆原稿が見つかった。評論、随筆の3作品で、そのうち二つは、これまでに発表が確認されていない作品。上林暁文学館(同町入野)や上林の研究者で孫の大熊平城(ひらき)さん(54)らは、新聞や文芸誌などに寄せたものではないかとしている。

見つかった「続編への疑問」の生原稿(黒潮町の上林暁文学館)
見つかった「続編への疑問」の生原稿(黒潮町の上林暁文学館)
 初確認の2作品は、評論の「続編への疑問」(400字詰め原稿用紙4枚)と随筆「武蔵野」(同2枚)で、もう一つは1955年に発表された「酒解禁」(同4枚)。

 原稿はいずれも神戸市の寺内敏夫さん(72)が義父の遺品を整理していて発見。「義父は文学ファンで、作家の生原稿を集めるのが趣味だった。所持していた経緯は分からない」と寺内さん。昨年11月に同館へ寄贈した。

 3作品とも青のペンで書いた文字の上から、朱筆の校正跡がある。「武蔵野」の原稿には、題名や名前の部分に「二」「一半」など文字の大きさを指定する記載も。大熊さんや同館は、昔の新聞や文芸誌などで校正を受けた原稿ではないかと推測する。

 上林は2度目の脳出血で倒れた1962年以降、左手や妹の睦子さんによる口述筆記で執筆。しかし、3作品とも筆跡がしっかりしており、筆圧、校正の仕方が似ていることなどから、「酒解禁」と同時期に書かれたのではないかという。

 「続編―」は林芙美子の「放浪記」などを引き合いに出し、作品は総じて創作意欲のある第1部が最も優れている―などと論評。「武蔵野」は東京都武蔵野市の風景描写を書き連ねている。「酒解禁」は、原稿から当初の題名が「一杯二杯の酒」だったことが分かった。

 松本敏郎館長(63)は「世に出ていない原稿がまだまだあるのではという気がしている。情報のある方はお知らせいただきたい」と話している。

 原稿は、同館の企画展「文壇・作家論」で3月31日まで展示されている。木曜、祝日(2月24日は開館)、2月23、28日、3月27日休館。(西村大典)

カテゴリー: 文化・芸能幡多

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