2020.01.30 08:44

新型肺炎に高知県内でも不安じわり マスク品薄、観光に影響

数量制限が掲示されたマスク売り場 (29日午後、高知市内のドラッグストア)
数量制限が掲示されたマスク売り場 (29日午後、高知市内のドラッグストア)
 新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受け、高知県内にも不安が広がっている。マスクを買い求める人が急増し、高知市の多くの店舗は品薄に。大手旅行会社の多くは中国へのツアーを当面中止し、他地域への旅行でもキャンセルする人が徐々に出始めた。高知を訪れる外国人旅行者は中国からも多く、観光業界では影響を心配する声が上がっている。

 「大容量マスクはお一人様5個まで」と掲示された高知市内のドラッグストア。売り場を訪れた60代の女性は「家族で県外へ旅行に行くので心配で。本当はこんな時に行きたくないがやけど…」と家族分をまとめて手に取った。

 高知市のドラッグストアはここ数日でマスクの売れ行きが急増。28日からは数量制限をする店も出てきた。

 ある店舗責任者は「メーカーによっては発注しても在庫がないと言われ、回ってこない。製造が追いつかなくなってきている」と話す。まとめ買いも増えており、「東京の子どもに郵送する」という人や「中国の友人に送る」という中国人の姿もあるという。

 影響は旅行業界にも及ぶ。旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)は、中国の主立った観光地を巡るツアーを2月10日まで中止。阪急交通社も2月17日まで中国へのツアーを全てやめた。中国の観光地で一時閉鎖が相次いでいるためで、旅行会社は客のキャンセル料を免除する措置も取り始めた。

 高知市の旅行代理店によると、中国以外へのツアーや、日本国内の旅行でもキャンセルが徐々に出てきた。担当者は「感染者が出てない地域へ行くのにも不安感が広がっているようだ。影響がどこまでいくか分からない」。

 一方、インバウンドに力を入れる県や観光関係者も成り行きを心配する。中国政府は27日から海外への団体旅行を事実上禁止しており、県内でも中国からの団体ツアーがキャンセルとなったホテルがある。

 高知新港にアジアなどから寄港したクルーズ船は2019年度は30隻。五輪イヤーの2020年度は45隻、乗客は倍以上の12万9千人を予定する。中国からの客船は2019年度は1隻だったが、2020年度は11隻の予約が入っている。

 高知県港湾振興課の担当者は、「この状況が続けば、海外からのツアーが中止や変更になる可能性もあるのでは」。高知市のホテル責任者は「いつまで続くのか。早く事態が収束してほしい」と話した。


湖北省に高知県関係者 数人滞在との情報
 高知県の浜田省司知事は29日の記者会見で、中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎拡大を受け、発生地となった武漢市を含む湖北省に滞在中の高知県人が「学校関係で数人程度いる」との情報があることを明らかにした。

 浜田知事は、各部局の関係団体を通じて高知県関係者の有無を照会したところ、県内居住者で湖北省に一時滞在している人が数人いる、との情報を得たと説明。「帰国する場合には健康管理などについて、しっかりと連絡を取り合って遺漏がないようにしなければならない」と述べた。年齢や性別などは「個人が特定される」として明らかにしなかった。
 また、29日に政府のチャーター便で帰国した邦人の中に県関係者がいるかについて、「外務省は『個人情報にかかわるので答えは差し控える』とのことだった」と述べた。 (福田一昂、大野泰士)


江崎治朗さん
江崎治朗さん
【高知県健康対策課長の医師に聞く】過剰な心配せず冷静に
 中国で発生し、日本でも患者が確認された新型コロナウイルスによる肺炎。不明な点も多いが、そもそもどんな病気で、どのように備えればいいのか。高知県健康対策課長で医師の江崎治朗さん(32)に聞いた。

 ―新型コロナウイルスによる肺炎とは。

 症状は発熱やせきなど。現在のところ、人から人への感染力の強さや経路などは不明。接触・飛沫(ひまつ)感染の予防が大切とされている。厚生労働省の情報によると、潜伏期間は最大14日程度と考えられている。

 ―どのような人が重症化しやすいか。

 中国の患者の詳細な情報がないので断定できないが、一般論として、持病などで、もともと全身の状態が悪い人や高齢者などがリスクが高い。そのあたりは通常のインフルエンザなどと同じだ。

 ―治療はできるのか。感染したが退院した人もいるというが。

 今のところ、何らかの特効薬や予防のためのワクチンはない。治療では、脱水にならないようにしたり、全身状態を管理したりといった対症療法を行う。重症化しない人もいると聞いている。

 ―予防法は。

 過剰に心配せず、冷静に対応することが大切だ。せきやくしゃみが出るときはマスクを着けて飛沫を防ぐことや、こまめな手洗いなど、通常のインフルエンザと同様の対策に努めてほしい。特に中国の武漢市から帰国・入国する人で、発熱やせきなどの症状がある場合、事前に医療機関に連絡した上で受診を。不明な点があれば最寄りの保健所に連絡してほしい。

 ―新型肺炎は2月7日から指定感染症に指定され、重症急性呼吸器症候群(SARS)や結核などの「2類感染症」に準じた扱いになる。高知県内での対応は。

 感染拡大を防ぐため、高知県知事の権限で患者を強制的に指定医療機関に入院させることなどが可能になる。県内の対象施設は高知医療センターと高知県立幡多けんみん病院。直ちに強制入院というわけではなく、患者の人権に配慮し、状態に応じて個別に判断する。(聞き手・山本仁)

医者(いしゃ)にきく 新型コロナウイルス どんな病気(びょうき)?【やさしい日本語バージョン】

関連記事

もっと見る

ページトップへ