2020.01.29 08:45

地場産大賞にミロク機械 1ミリ以下の深穴加工 日本初の機械

小さな「穴」に大きな未来 医療機器分野への活用も
直径1ミリ以下の深穴を開けることができるガンドリルマシン(写真はいずれも南国市比江のミロク機械)
直径1ミリ以下の深穴を開けることができるガンドリルマシン(写真はいずれも南国市比江のミロク機械)
 優れた地場産品や活動を表彰する第34回高知県地場産業大賞が28日発表され、ミロク機械(南国市、安岡憲祐社長)の「ガンドリルマシンMKBG―500―1NC」が選ばれた。金属などに直径1ミリ以下の深穴を開けることができる日本初の機械で、高い技術と成長性などが評価された。

 おおむね2年以内の地場産品や活動が対象で、今年は過去最多の75件(一般67件、高校生8件)の応募があった。表彰式は2月21日。

 ガンドリルマシンは猟銃製造から生まれ、自動車部品などに広く活用されている工作機械。受賞したモデルは、主軸をモーター回転軸に埋め込む方式を採用し、日本最小の深穴加工ができる。需要が高まっている自動車部品や医療機器部品の小型化に対応でき、「世界に挑戦できる高い技術力」と評価を受けた。

 ミロク機械の稲田勝裕取締役(51)は「歴史ある賞をいただいて光栄。県内で需要がある機械ではないが、県外から仕事を持ってきて、高知の経済を回す力になりたい」と喜びを語った。

 高知県地場産業大賞は高知県産業振興センターの事業。「くろしお博覧会記念基金」を活用し、1986年から行っている。

40年以上の蓄積実る
直径0・9ミリの深穴を開けた鉄の棒(右)とガンドリル
直径0・9ミリの深穴を開けた鉄の棒(右)とガンドリル
 工作機械製造のミロク機械(南国市、安岡憲祐社長)が初めての応募で高知県地場産業大賞を受賞した。「ガンドリルマシンMKBG―500―1NC」は、金属などに穴を開ける際の小ささ、まっすぐさを追求。その穴の向こうに新しい可能性を切り開く。実現の陰には40年以上積み重ねてきた確かな技術力があった。

 ガンドリルとは文字通り銃(ガン)に穴を開けるドリルのこと。「穴あけ」の技術は銃に限らず、自動車業界や金型業界などで求められ、加工機械「ガンドリルマシン」が活用されている。

 ミロク機械は、猟銃製造のミロク製作所(南国市)の生産技術部門が独立する形で1971年に創業。ガンドリルマシンを製造し、トップメーカーとして存在感を発揮してきた。

 「より小さい穴」に挑むきっかけは自動車業界などのニーズから。燃費向上にエンジンの燃料ノズルの小径化などが不可欠として、取引先から要望があった。従来製品の最小は直径1・2ミリ。2016年から1ミリ以下を目指した開発が始まった。

 課題はドリルをどう高速回転させるか、だった。開ける穴は小さいほど高速回転が必要で、1ミリ以下ならざっと毎分2万回転。しかし、それまで採用していたモーターとスピンドル(ドリルを回す主軸)をベルトで連動させる方法では、毎分1万2千回転が上限だった。回転の振動がベルトを介して主軸に伝わるため、速くなり過ぎるとぶれが出るなど加工精度に影響するためだ。

 そこでミロク機械は研究を重ね、スピンドルをモーターに埋め込んで一体化する方式をガンドリル向けに応用した。

 さらに、高速回転の熱に備えた冷却対策を講じ、切りくずを除去する方法も改良。穴の直進性を高めるため、素材とドリルを同時に回転させる装置も導入し、毎分2万回転のマシンが2018年秋、完成した。高速回転の結果、加工速度も従来より大幅にアップした。

 難易度の高い挑戦で、高知県内のものづくりで最も権威のある賞を受けたミロク機械。ただ、現場には「当たり前のことの積み重ね」と浮かれた様子はない。

 設計責任者の足達賢(まさる)技術部次長(50)は「1ミリ以下を目指すときの課題は想定できており、開発はスムーズだった。40年の蓄積を生かし、心配事を一つ一つつぶしていく感じだった」と振り返る。

 1ミリ以下の深穴は、自動車の性能向上のほか医療機器分野への活用も見込まれ、既に3台受注している。骨折などで骨を固定するボルトや内視鏡、手術用具などの小型化につながれば、患者の負担が減る。地場産業大賞の審査でもニーズ拡大や大きな成長が期待できる点が評価された。

 現在、穴の直径0・9ミリまでテストを終え、さらに小径化に取り組む方針。稲田勝裕取締役(51)は「現場はガンドリルばかり扱っているので、自分たちを客観評価しづらい。そういう意味で、自信につながる賞を頂いた」と表情を崩した。(竹内悠理菜)


各賞の受賞団体
 28日に発表された県地場産業大賞で、大賞以下の授賞は以下の通り。

 【産業振興計画賞】
▽IoT技術搭載・安全装置強化型クレーン「ゆれ~ん」(上田電機、高知市)

 【地場産業賞】
▽オフィスデリバリーフードサービス「イナカデリコ」(StoryCrew、南国市)
▽沢渡茶を通じて地域活性化を夢見る企業ビバ沢渡(ビバ沢渡、仁淀川町)
▽フラッシングコアによる副側溝工法(フィールディックス、高知市)
▽トリプル~3枚重ね~「うさぎ」ギフトボックス(望月製紙、土佐市)

 【奨励賞】
▽タピオカのお酒シリーズ(菊水酒造、安芸市)
▽高知家の玄関で土佐酒をアピールする「日本酒バー TOSA GATE」(合同会社コチコチ、高知市)
▽液状化対策型耐震性貯水槽「UN−FLOAT40」(新高知重工、高知市)
▽ギミックボックス(土佐組子、高知市)
▽奈半利 ゆず豚(合同会社なはり池里農場、奈半利町)
▽ごちそうたまごどうふ(ぶらうん、四万十町)
▽高知の財布(ブランド高知、高知市)
▽松崎淳子先生の書籍出版に向けた活動(松崎淳子先生の書籍を出版する会、佐川町)
▽持続可能な水産資源の発展をめざす「種苗生産」の取り組み(山崎技研、須崎市)
▽生姜真鯛(山兆水産、須崎市)
▽民間主導によるインバウンド誘致事業(Unify kami city香美市)

 【次世代賞】
▽安芸住みやすい街推進委員会WISHの立ち上げと活動(安芸桜ケ丘高校、安芸市)
▽はたのうGAP. ~Next Stage~(幡多農業高校チーム「G.A.P.」、四万十市)
▽Zバーガー・Zロール・嶺北まるごと れいほくピザ(嶺北高校チーム嶺北高校、本山町)

カテゴリー: 主要政治・経済


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