2020.01.25 08:00

【野党合流見送り】選択肢示す責任果たせ

 安倍1強の長期政権におごりや緩みに加えて、腐敗ともいえる疑惑が相次いでいる。野党勢力には、有権者に選択肢を示す責任があるという自覚を求める。
 立憲民主党と国民民主党の合流が当面、見送られた。
 合流協議は昨年12月上旬、立民の枝野幸男代表が巨大与党と対峙(たいじ)するために呼び掛け、年をまたいで交渉が続いてきた。当初は今の通常国会に一つの政党として臨み、安倍政権を追い詰める狙いがあった。
 ところが事実上の吸収合併を狙った立民に対し、国民側は合流後の主導権を立民に握られることを警戒。玉木雄一郎代表が賛否の割れる党内をまとめられなかった。
 両党は昨年末の幹事長会談では合流の方向で大筋合意したものの、今年に入り党首レベルの協議が停滞。党名や綱領、人事、政策といった課題で溝が埋まらなかった。
 頓挫の背景には、昨年の参院選の選挙区で争った参院側の確執もあるという。だが、両党が感情的な対立や体面にこだわり、コップの中で争っているとすれば疑問だ。
 共同通信が今月実施した世論調査で、立民の政党支持率は6・9%にすぎない。国民は1・6%と相変わらずの低空飛行だ。両党の合流に「期待する」は2割強、「期待しない」が7割近くに上った。
 合流協議の不調は、党内抗争に明け暮れ「決められない政治」に陥った旧民主党を想起させた可能性もある。両党とも、有権者の信頼や期待の面で追い詰められている状況をもっと認識した方がいい。
 ただ、政権の選択肢として、あるべき社会像を有権者に示すのであれば、政策や理念を置き去りにした拙速な合流にはやはり無理があろう。
 旧民進勢力が2017年の衆院選前に分裂した要因には、安全保障関連法に対する姿勢の違いがあった。立民は「原発ゼロ」を掲げ、国民は再稼働を容認する電力総連などの組織内議員を抱える。 
 路線対立が表面化する火種を抱えたまま合流しても、「決められない政治」を再現する恐れがある。
 両党は今後、国会での共闘や次期衆院選に向けた協力を進めることは確認している。野党結集の核として主要政策の合意点を詰め、合流協議の仕切り直しも視野に入れる努力を求めたい。
 安倍政権は今、「桜を見る会」を巡って安倍晋三首相自身が私物化批判に直面する。統合型リゾート施設(IR)事業に絡む汚職事件、政治とカネを巡る2閣僚辞任と疑惑が重なるが、いずれも説明責任を果たしていない。
 今ほど政権の監視機能、緊張感が必要な政治状況はないだろう。
 両党は昨年9月、衆参両院で社民党なども含む統一会派を結成。共産党とも連携した疑惑追及では一定の成果を上げてきた。
 なお政策面の熟度を高めて信頼できる選択肢を示し、国民に対する責任を果たすべきだ。 

カテゴリー: 社説

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