2020.01.22 08:00

【新型ウイルス】感染拡大の予防怠りなく

 中国の武漢市で確認された新型コロナウイルスによる肺炎発症者について中国政府は「人から人」への感染が分かったと発表した。
 国内の発症者は増えており、死者も出ている。介護に当たった複数の医療従事者も感染していたという。
 日本でも武漢市に滞在した、神奈川県に住む中国籍の男性1人(退院済み)が感染していた。タイや韓国でも中国人旅行者らからウイルスが確認されている。
 コロナウイルスは、人や動物に感染するウイルスの一種で、人に感染症を引き起こすものは数種類が知られている。ただし、風邪など軽い症状にとどまるものが多いという。
 今回のウイルスの詳しい特徴はまだ解明されていないが、専門家の見立てでは感染力は弱いとされる。
 そうした場合の予防法は一般的なインフルエンザと同様に人混みをなるべく避けるとともに、こまめな手洗いやマスク着用などが有効だ。過度に恐れることなく、予防の基本をそれぞれが冷静に確認したい。
 心配するのは、25日の春節(旧正月)に合わせた中国国民の大移動だ。大型連休(24~30日)を含む1カ月以上が帰省期間となり、延べ約30億人が移動するという。日本にも多くの観光客が訪れる。この大移動に合わせて中国の国内外で感染が広がる恐れがある。
 世界保健機関(WHO)は、中国国外で患者が出る可能性があるとして、警戒の継続を各国に呼びかけている。専門家の緊急委員会を22日に開き、感染拡大防止への方策を話し合うという。
 日本も関係閣僚会議で水際対策の徹底や患者の確実な把握などを確認した。武漢に加え、上海からの入国客に体調を申告してもらうカードを空港で配布する。短期間に大勢の観光客が訪れるだけに、万全でスムーズな検疫が求められる。
 2003年に中国で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、12年以降に発生している中東呼吸器症候群(MERS)もコロナウイルスが原因だ。SARSはアジアを中心に約8千人がかかり、その1割が死亡した。
 SARSはコウモリ、MERSはラクダが持っていたウイルスが原因とされる。動物から人に感染する性質を持つものは重症化しやすく、各国政府も警戒している。
 今回のウイルスの遺伝的特徴がSARSに似ているとする国際機関もある。WHOや各国の担当機関は総力を挙げて特徴を解明してほしい。
 各国が警戒し、情報を求めているにもかかわらず、中国当局は新型肺炎に関するインターネットの書き込みを削除するなど情報統制を強めている。対応の遅れを批判されないよう世論管理をしているとみられる。
 SARS流行の際も報道規制で感染拡大を招いた経緯がある。春節の大移動で感染の広がりが懸念されている。国際社会の当たり前のルールとして、正確な情報開示を中国当局に強く求めたい。

カテゴリー: 社説


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